大人計画、「あまちゃん」後の計画は? 売り込みの名手、長坂まき子社長に聞く(下)

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長坂まき子社長、劇団の赤字を一気に止めた。(撮影:今井康一)
NHKの朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の大ヒットで注目度がアップしている、人気劇団の「大人計画」。1988年の作品「絶妙な関係」で旗揚げしてからは、主宰する松尾スズキの作・演出するアナーキーでブラックな笑いがあふれる作品が人気を呼び、96年の作品「ファンキー!」では、演劇界の芥川賞ともいわれる岸田戯曲賞も獲得。名実ともに小劇場シーンを代表する劇団となった。今世紀に入ってからはチケットが入手困難となるほど人気化、本多劇場(東京・下北沢を代表する劇場)などでは長蛇の列ができるほどになった。
その代表を務める長坂まき子社長に、テレビドラマや映画への役者、脚本の売り込みに成功した話を聞いた前回のインタビューに続いて、今回は、本業である舞台や、音楽への取り組みなどについて話を聞いた。

「それはムリです」と劇団のおカネの管理を改善

2006年に開催した大人計画フェスティバル。若手の活躍も目を引いたが、宮藤官九郎のお化け屋敷、松尾スズキのママさんコーラスの人気もすさまじく、長蛇の列が続いた

――長坂社長が91年の作品「サエキナイト」で制作として、大人計画にかかわり始めた当初、役者はアルバイトをして劇団の維持費を払っている状況だったと聞きます。劇団のおカネの管理をどうやって改善していったのですか。

客席が満員になっても、これくらいの収入にしかならないというのはわかっているわけです。それで予算はある程度みえる。美術費が30万円しか出せないなとわかれば、「この床をもっとゴージャスな素材にしたい」と言われても、「それはムリです」と言う。すごく単純なこと。それが言えるかどうか。「どうしてもこれが必要」と言われ、「そうか」と思っちゃったら赤字になる。

――それ以降は赤字の出るような公演はほとんどなくなったようですね。2006年9月の「大人計画フェスティバル」(東京・多摩市の廃校で3日にわたって開催)は“意味のある赤字”公演だったと聞きましたが。

当時、うちの中では若手だった近藤公園とか、平岩紙とか、星野源とか。すごく面白い発想もあり実力もあるのに、何となく松尾(スズキ)とか宮藤(官九郎)とか阿部(サダヲ)とかの印象だけが強いというのは、すごくもったいないなと思って。それぞれがこれだけのことができるというのは絶対見せたいと思って開催しました。

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