中国経済は、もはや年5%も成長していない シャドーバンキング問題に揺れる中国の実態は?

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このときには、先に取り上げた地方政府も大きな役割を果たしています。各地方政府が以後3年間に行った投資は10兆元を超え、向こう7年分の投資をこれで先食いしてしまったともいわれています。

しかも、地方政府の下にある国有企業や「融資プラットフォーム(融資平台)」がこのときに借りた資金はすでに償還期を迎えています。そのため、今や地方政府の多くが借り換えなしでは償還にも応じられない重債務状態にあります。
そのような状況下で、2013年3月末に中国の資金供給量は初めて100兆元を突破しました。これはGDPの約2倍に当たりますが、今やこの膨らんだマネーがさまざまな波紋を広げています。

近頃、目立つようになった「理財商品」の債務不履行がそれです。預金や融資を当局が厳しく管理する中国では、それらとは別ルートである「シャドーバンキング(影の銀行)」が横行しています。理財商品はその代表格です。銀行は融資以外の信用仲介を行っており、4大国有商業銀行だけで取扱残高は3兆元を超えるといわれ、財源不足の地方政府のインフラ投資にも流れ込んでいます。

最近、デフォルトを起こした理財商品は金融大手の子会社が発行したものですが、投資先の資金繰りが悪化して、投資家への元利払いに行き詰まったといいます。どうやら規制の網をかいくぐる危ない投資だったようで、世界的に著名な投資家のジョージ・ソロス氏はこうした中国の現状を、「アメリカのサブプライム危機時と状況が似ている」とみています。

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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