「不妊治療のつらさ」に私はこう接してきた

心安らかに、周囲と接するにはどうすべきか

話がずれてしまいますが、私の息子が病気になって、それが難病指定されるものだとわかり、長期入院していたときのことを思い出します。その時、私は外に出るのがとてもつらかった。歩く道で、保育園児の子どもの列とすれ違うとき、公園で遊ぶこどもたちや、スーパーで手をつないでいるママと小さな子どもを見るとき、毎日のように私は泣きたい気持になっていました。

「どうして、うちの子だけあんなことになったのだろう……」と思っては、大きな声で、「私にも頑張っている息子がいます!」と叫びたいような不思議な気分になったものでした。そして、せっかく励まそうとしてくれる友達に「きっとよくなるよ」と言われるのが、かえってとてもつらかったり、入院先で出会ったほかの子のママが「もうすぐ退院なの」と言っても泣きそうになったり。自分のことばかり考えていました。

誰もまったく悪意がないのはよくわかっていたけれど、どうしてもそんな気持ちになってしまう。家で泣いても、「お前が泣いたって仕方ないだろう。いちばん頑張っているのは誰だ?」と夫に正論を言われてしまったら、もう泣き続けることさえ許されなくなってしまうのです。あなたの不妊治療と息子の病気とは違うけれど、どんな妊婦さんや赤ちゃん連れを見ても涙が出そうになる気持ちとは、似ているような気がしました。

環境から「逃げる」のもあり

どんどんつらさだけが募っていくようであれば、環境から「逃げてしまう」のもありではないかと思うんですよ。つまり、仕事を休んだり、会社を一度辞めるのも、ひとつの方法だと思うということです。どんな結果になっても、いつかは乗り越えなければならない感情だけれど、今のあなたが壊れてしまったら元も子もありません。

「逃げる」というのはネガティブに感じるかもしれないですが、身を守るために必要なときだってあるはずです。気持ちにふたをしないで、ご主人といろいろと話し合ってみるといいと思います。治療に集中しすぎて不安定になってしまうことやおカネの問題など、「逃げる」ことにはデメリットもあるかもしれませんから。

もし、あなたが、今の仕事と不妊治療を両立させていきたい、精神的なつらさをなるだけ感じないように周囲とコミュニケーションを取りたい、と思うのなら……。つらいとは思いますが、同僚の幸せはどうしても目にするし、どんなに引きつりそうになっても「おめでとう!」と喜ぶことは、最低限のコミュニケーションマナーだと心得なければなりません。

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