「不妊治療のつらさ」に私はこう接してきた 心安らかに、周囲と接するにはどうすべきか

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また、周囲は不妊治療をしている女性に対して、応援したり気遣いたい気持ちもたくさんあるのだと理解することが必要になります。あなたを傷つけたいわけではない、なんとか元気に頑張ってもらいたいし、良い結果が訪れるといいなと願っていることが大半だと思うのです。

その応援の気持ちや言葉は、あなたの状況と一致することもあれば、しないこともあるでしょう。だからといって、自分を責める必要もないけれど、一致しないからと誰かを責めたり求めすぎたりしてもあなたが苦しくなるばかりです。

それが見えなくなってくると、「彼女は不妊治療中でつらいから、妊娠報告はやめておこう」などと、変な気遣いまでされて、余計に傷つくこともあるかもしれません。ある程度、「傷つく」「つらい」のを織り込んでいくことは必要で、まったく無菌で生活していくなんてことはできない、と私は思うのです。

いちばん楽になれる自分なりの逃げ方を探す

私自身の不妊治療時代のことから言うと、自己開示すれば確かに自分は楽になったのですが、それによって誰かを傷つけたこともありました。もっと苦しい状況にいる人もいたのに、気づかなかったのです。そして、結果的に妊娠できた私は、そうでなかった人たちの思いや苦しさを、真に理解することはできないのだと今は思います。

息子の闘病時代のことを思い出すと、私は「何も言わない人」がいちばん楽でした。その人の子どもの話題は頑張って普通に聞くし、一緒に笑うのだけれど、「それで病状はどうなの?」などと聞いてこない人。自分で話せるようになったら話すね、今はこの話題ちょっとしんどいんだ、ということをわかってくれる人です。つまり、「そっとしておいてもらう」ということでしょうね。

「今、不妊治療中である」ということは周囲にも知ってもらいながら、誰かの幸せはみんなと一緒に一生懸命お祝いする、そして、自分に関することは突っ込まないでほしい、どんな気遣いも今は避けたい、というオーラはちゃんと出しておく。そうやってなんとか折り合いをつけていくしかないかもしれません。きっと徐々に周囲もわかってくれて、積極的な気遣いをしないようにしてくれると思いますよ。

不妊治療だけでなく、人にはそれぞれの事情があります。周囲はその事情のすべてをくみ取り続けることはできない。知らないうちに傷つけたり傷ついたり、そういうことを面倒だと思いすぎてしまうと、日常生活そのものがすごく難しくなってしまいます。

素敵なご主人がいて、不妊治療を頑張っていて、まだ38歳だ、というあなたを見ると、胃がキリキリするくらい嫉妬してしまう女性だって、周囲にはいるかもしれません。いつかはきっと乗り越えられる、そう自分を信じて、あなたがいちばん楽になれる自分なりの逃げ方を探してみてください。ご主人と一緒に探せるとなお、素敵だなと思います。無理しすぎないで、頑張ってくださいね。

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

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どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

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