トルコで拡大するデモの真相
今、トルコで紛争が多発しているのは、政権がイスラム色を強め、世俗的な社会とヨーロッパとの接近を望む国民の意思に反し、アラブ諸国との連携を強め宗教色を強化している政府が権威主義的傾向を強めていることに、国民が反発しているからだ。
私の友人もイスタンブールに戻り、このデモに参加してきたとのことだが、人生で経験したことのないような高揚感と興奮状態にあると言っていた。彼女たちはトルコの経済成長は名目成長は大きいが実質は大したことがなく、政府発表の数字は実態と乖離しており、私たちの生活は10年間何も変わっていない、と嘆く。またIMFからの借金を完済したと政府は胸を張るが、そのおカネはアラブ諸国から借りたおカネで返済しただけで、2枚のクレジットカードを回しているだけ、しかも国民が借りたくない先からおカネを借りている、と政権への批判のトーンを強める。
私がトルコ人の友人と話していて強く感じるのは、彼らはヨーロッパの一員であることを望んでおり、アラブ諸国と一緒にされたくない、と思っている人が少なからずいること。今の政権は本来、イスラム色が強いので皆が警戒していたが、2年前の選挙の際には「親ヨーロッパ的で経済政策を中心に運営する」と主張していたため、それにだまされて投票した“愚かな有権者”(彼女の発言の通訳)が多いということ、そして対抗できる野党がない中で、宗教的・権威主義的になり、汎アラブ主義的傾向を強める政府に対抗し、世俗的な自由を守りたい、という強い意志をトルコ人の友人から感じる。現在の反政権のエネルギーがどこに向かうのか、まずは今年開催される地方選だが、次回の国政選挙まで数年あるため、しばらくはこの政権で我慢するしかないらしい。
なんか、最後は住みよい都市ランキングでも何でもなく、最近、トルコ人エリートの皆さんと話した内容の紹介みたいになってしまったが、次週では(もしこのコラムに人気があったら、という場合のみ)続編のランキング、5位から1位をお届けしたいと思う。
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