急成長メルカリ、「バリュー」への異常な執着 人事担当取締役・小泉氏に聞く<前編>

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一方、メルカリのバリューは、以下の3つだけです。

Go Bold(大胆にやろう)
All for One(すべては成功のために)
Be Professional(プロフェッショナルであれ)

そして、メルカリのミッションは、「Create value in a global marketplace where anyone can buy & sell(新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る)」です。

企業バリューである「Go Bold」がプリントされたTシャツ

バリューは他社に比べて数を限定しているだけでなく、それを会議室の名前にしていたり、お客さんにお渡しするペットボトルに記載したりと、いろんなところに散りばめています。ミッションやバリューを創ることだけに満足せず、運用してなじませるほうに労力を使っています。

たとえば、今私たちがいる会議室の名前は「MARKETPLACE」です。目の前にある会議室の名前は「GLOBAL」です。こうしてつなげていくと、ミッションになります。会議室の名前から自然につながっていくのです。

――すごい統一感ですね。

「Go Bold」などのバリューが書いてあるTシャツもたくさん作っています。僕は、バリューを浸透させるにはなるべく社員が普段口に出す言葉にしていかなければならないと思っています。それこそ、社員がそれらの言葉で遊びだしたら「勝ち」かなと。

――言葉で遊びだすというと?

たとえば社内のプロジェクトについて話している時に、「そこはGo Boldな意思決定でやろうよ」といった使い方が出てくるといい。オフの飲み会でも、「その飲み方、全然Go Boldじゃないじゃん」といったことを誰かが言い出したら勝ちなんですよね(笑)。もう完全になじんでいるという意味において。そういう文化をつくっていくのが大事だと思っています。

言葉遊びで文化をつくる

――そこまで考えて、ミッションやバリューを運用されているのですね。

はい。突き詰めて言えば、バリューやミッションをどうやってなじませるかを工夫してきた、というのが僕らのこれまでの軌跡ですね。そこは他の会社より相当時間を使ってきたと思います。

――運用するうえで気をつけていることはありますか?

やはり、ずっと言い続けるということでしょうか。古参の社員ほどバリューに愛着を持ってくれているし、彼らの間ではなじんでいます。次は、彼らが伝道師となり、後輩たちにそれを伝えてくれるかどうか。

経営陣だけがバリューを唱えていてもなじまないと思います。「それはGo Boldな決定じゃない」とか、「もっとAll for Oneでやろう」という言葉がふとした拍子に現場で出るかどうかが組織、チームの強さだと思っています。そこに向けて、まだまだできることはあると思っています。

――お話を聞いていると、もうかなり浸透しているようにも思えますが。

そうですね。たとえばメルカリの社内にはいろいろな「部活」があるのですが、そのような業務外の時間でも、バリューは自然に使われています。私が参加しているテニス部でも「そのプレー、Go Boldじゃないよね(笑)」とか、「All for Oneで頑張ろう!」という声が上がるぐらい浸透しています。オンの時もオフの時も、こんな感じで日常的に使ってほしいですね。

(撮影:今井 康一)

砂流 恵介 ライター

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すながれ けいすけ / Sunagare Keisuke

1983年広島県生まれ。秋葉原のPCショップ販売員を経て、日本エイサーにて宣伝・広報を担当。2014年1月に独立。手段を選ばないゲリラ的なPRを得意とする。アメリカザリガニ平井のゲーム実況番組「スーパーピコピコクラブ」のメインMC、元JUDY AND MARYのTAKUYAが中心になって結成した「商店街バンド」の広報、攻殻機動隊REALIZE PROJECT編集長のほか、各種ネットメディアでの記事を執筆している。

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