トランプ勝利は米国社会の病弊を映し出した 勝利後に「団結」をアピールも、分断は深刻化
米国史上「最も醜悪」な争いといわれた大統領選挙が幕を閉じた。
当初は泡沫扱いされた共和党候補のドナルド・トランプ大勝というビッグサプライズ。米主要メディアのほとんどが、民主党候補のヒラリー・クリントン支持という構図の中、選挙速報の最中に、「ジーザス(クソ)!」と思わず本音を漏らした著名男性キャスターさえいた。
今回の大統領選では、共和党幹部がトランプのセックススキャンダルや人種差別的発言などを問題視。相次いで自党の大統領候補の不支持を表明するなど、党が分裂する前代未聞の事態に陥った。
白人男性票の獲得が勝負の決め手
一方のクリントン側も、国務長官時代に公務で私用メールを使っていた問題が傷となって、終盤まで接戦に持ち込まれていた。投票日直前にFBI(米国連邦捜査局)が訴追を見送ったことで逃げ切ったかと思われたが、最後にまさかの大逆転劇が待っていた。
「驚くべき勝利だ。クリントンに対するノーでもあるが、トランプは白人男性の票を大差で獲得した。これが、勝利のカギとなった」と、米ロヨラ・メリーマウント大学の教授で世界政策研究所所長を務めるマイケル・ジェノビースは指摘する。
共和党予備選でトランプに敗れ、今年夏の共和党全国大会で登壇した際、同候補の支持を拒んで会場からブーイングを浴びたテッド・クルーズ上院議員も、「米国の労働者にとって驚くべき勝利」とトランプを称賛した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら