山崎元氏「トラショック後の日本株は買いだ」 「暴言エロオヤジ」がヒラリーに勝ったワケ

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それにしても、政治経験のない「暴言エロオヤジ」であるところのトランプ氏に投票してまで、多くの米国民が勝たせたくないと思ったヒラリー・クリントン氏の嫌われぶりは異様だ。

8年前のオバマ氏との民主党候補選挙戦でも感じたことだが、彼女はなぜ、ここまで嫌われ、特にいざ投票が近づく終盤戦に一段と嫌われるのだろうか。彼女が嫌われる理由は、ビジネスパーソンにも参考になるのではないか。筆者は、米国に住んでいるわけでもないし、根拠のある理由を打ち出せるわけではないのだが、何とも興味深い。

実は、彼女がしばしば口にする「ガラスの天井」(女性の出世を頭打ちにする社会的障壁の比喩)のせいだけではないだろう。彼女には、女性ゆえの人気もあるわけだし、女性のリーダーに対して米国社会が強いアレルギーを持っているとも思えない。第一、女性であることは変化していないのだから、彼女の終盤戦の弱さが説明できない。

大統領選の勝敗を最後に分けたのは「笑顔の差」

彼女に漂うエリート臭やキャリアアップ指向の強さは、不人気の一部を説明できるように思う。「上」を指向することがあまりに露骨な者に対して、それを阻止したい、敗れた時の顔を見てみたい、という心理は、エリートならざる大衆の中には、あってもおかしくない。

9日水曜日のNHKの午後7時のニュースも、おそらくトランプ勝利を予想していなかったと見えて、大統領選最終盤の同じ映像が何度も放映されていた。いささか辟易しながら、画面を見て、筆者が気付いたのは、ヒラリー・クリントン氏の笑顔の不自然さだ。

彼女は、要所要所で、目を見開いて大笑いする独特の笑顔を見せるのだが、これがいかにも作り笑顔臭くて鼻につくし、何度も見ているうちに、ケースに応じて都合のいい表情を作ろうとしてその通りに顔を動かすクリントン氏の人間性が、怖いもののように見えてくる。

他方、トランプ氏の笑顔は、全く下品だが相対的には自然だ。笑っている時には、彼が上機嫌であることが伝わる。一般にビジネスの世界でも、リーダーの言葉や表情・しぐさが本人のホンネと一致しているというフォロワーの確信こそが、リーダーシップが機能する源泉だ。筆者には、今回の大統領選の勝敗を最後に分けたのは両候補の笑顔の差であったように思う。

他人に、不自然な笑顔を見せない方がいい。笑う時には、本当に機嫌を良くしてから笑おう。

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