日の丸ソーラー産業よ,中国を使い倒してしまえ 太陽光発電は本当に儲かるのか(下)

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日本の新素材技術が、ソーラー産業を変革する

ソーラー発電の中で(現状の技術水準で)変換効率を比較すると、Ga-As系(ガリウムヒ素)の次がシリコンである。だが、理論上はCIGS系(銅・インジウム・ガリウム・セレン)とCdTe系(カドミウム・テルル)のほうが、変換効率は高いのだ。

現在の変換効率を比較すると、シリコンは17~20%だが、CIGS系やCdTe系の限界変換効率は27~28%が理論的に可能だ。日本のソーラー技術が中国に勝つためには、シリコンではなくCIGS系やCd‐Te系のソーラーパネルの薄膜技術で勝負するべきだ。

CIGSとCdTeなどの化合物半導体を利用したソーラー発電の開発が進んでおり、CIGSは日本の技術開発が世界一であり、日本企業ではソーラーフロンティアとホンダソルテックの躍進が期待される。Cd Te型では米国のファーストソーラー社が有名だが、日本ではカドミウムのイメージが悪いために開発は困難であると思われる。ファーストソーラーも日本企業との太陽電池の販売パートナーシップを進めているが、シリコン結晶系ソーラーで進めているようだ。

レアメタルがソーラー素材の肝になる

インジウムやガリウムやセレンはレアメタルの一種であるが、当面はソーラー発電の技術基盤が薄膜だから資源制約に影響されることはない。一般的には知られていないがセレンやテルルは銅精錬の副産物で日本は輸出国である。インジウムも亜鉛や鉛の副産物だから供給不安は少ない。同様にガリウムはアルミ精錬の副産物だが、日本が世界最大の消費国であり国内リサイクル率が7割を超すので、レアアースやタングステンのような資源供給の不安はない。資源大国である中国の顔色をうかがう必要のないレアメタルであるから、中国が外交カードに使うことはありえない。

さて、ソーラー発電の技術の話が続くが、もう少しだけ我慢して読み進めてほしい。現場のソーラーの変換効率が17~20%では心もとないが、日本には集光型ソーラーの技術もある。ゆえに、現在の実績では集光型ソーラーで40%以上の変換効率が可能だ。

今後は飛躍的な性能の向上や低コスト化、生産量の増加による普及の拡大などが期待される。シリコン結晶も中国における生産の優位性を生かしながら、新たな原理の活用、既存材料の新活用を含めた材料の革新が進むことが予見され、新構造・新材料太陽電池や燃料電池の白金代替触媒などの革新的な研究が進むことが期待される。日本のソーラー技術はつねに世界レベルを牽引していく、と言っても過言ではない。

次ページといわれても、中国に勝てるのか、不安だが?
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