MITの卒業式、MITでの結婚式 賢く生きるよりも、楽しく生きたい

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ドレスコード

アメリカの卒業式にはドレスコードがある。卒業生はもちろん、壇上に並ぶ教授たちから、誘導をする係員まで、下の写真にあるようなガウンを着用しなくてはいけない。ガウンのデザインは学校によって異なる。教授として参加するときには、自分の出身校のガウンを着るのが慣わしである。だから壇上にはさまざまな色のガウンを着た教授が並ぶ。

ドレスコードがあるからといって、式が堅苦しいものであるというわけでは決してない。むしろその反対だ。遊び心豊かなMIT生たち は、角帽の上に奇抜な飾りをして人目を引こうとする。

たとえば帽子の上にMITのキャンパスの模型を作ってしまった土木工学科の学生や、帽子の上に火星の大地を再現し、火星ローバーの模型まで置いてしまった航空宇宙工学科の学生、分子模型を乗せた化学工学の学生などなど。

子煩悩な友人たちが赤ちゃん用のガウンを特注して愛息に着せていた。

ドラえもんもMITを卒業したようである。

卒業式の前後にガウンを着て道を歩いていると、すれ違う人がみんな”congratulations”と声をかけてくれるのが、うれしくて、誇らしくて、すこし照れくさい。

卒業式 国歌とスピーチ

卒業式の日は朝早くから、自慢の息子や娘の晴れ姿を少しでもよい席で見たいと願う親たちが、会場の前に長い列を作る。家族たちが観覧席に、教授陣が壇上に着席した後、卒業生たちがにぎやかな音楽と満場の拍手に迎えられ、誇らしげに入場してくる。

式はアメリカ国歌の斉唱で始まる。余談になるが、日本の卒業式では国歌を歌うか歌わないか云々と、ずいぶんと議論になっている。僕は、国歌を歌うことにケチをつけるのはおかしいと思うし、また歌うことを強要するのもおかしいと思う。日本人は大げさに考えすぎなのではないか。自分の国を誇りに思っていれば自然と口に出るし、歌いたくなければ歌わなければいい。他人が歌うこと、あるいは歌わないことをとやかく言うものではない。

開式宣言など形式的な内容を手短に終えた後、guest speech(来賓祝辞)が始まる。Steve JobsがStanford大学で2005年に行ったスピーチや、ハリー・ポッターの作者であるJ. K. RowlingがHarvard大学で2008年に行ったスピーチは、もはや単なる祝辞にとどまらず、哲学的価値のある名スピーチだった。

僕の年のMITのguest speakerは、Salman Khanという、ネットで無料の教材を配信するNGOを立ち上げ話題になった人だった。彼は卒業生に対し、目を閉じて50年後の自分を想像するように壇上から呼びかけた。そして、そのときに何かを後悔しているとすれば、それは何だろかと問うた。たとえば、もっと多くの時間を子供と一緒に過ごすべきだった、妻にもっと頻繁に愛していると言えばよかった、あるいは両親が死ぬ前にもっと感謝の気持ちを伝えればよかった、などと。そして、それを今、実行するように呼びかけた。いいスピーチだったと思う。

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