糸井重里「ブラック企業が生まれる理由」

糸井さんと、これからの働き方を考えてみた(下)

――楽しく働くためには、やっぱり商売をちゃんと回すことが大事、と。

ええ。社長の責任は重いですよ。

――お金を稼げてこそ、楽しさも生まれてくる。

でも、稼いでいるのに、どんどんブラックにしていく会社ってのもあるかもしれないですからねえ。

――ああ(笑)。

まぁ、言えないけど(笑)。

――株主のプレッシャーとかもあって。

それはちょっとおかしいですよね。「楽しい企業の株を買いたい」っていう株主がいたらいいのに。

――たしかに。「楽しい企業ランキング」があったほうがいいですね。

だって、株を買うことは、「その会社の一員ですよ」っていうメッセージのようなものじゃないですか。だとしたら、「オレは人を苦しめている会社の株を持ってるんだ」って言いたくないですよね。

――そうですね。

そういう時代になったらうれしいですねえ。だから、働き方を考えるということは、そういうことまで含んでいる。

それがうまくいっている例を見せないといけない。いまのうちからマッサージしておいて、やわらかい筋肉で次の時代を迎えたいなあ。

おカネ儲けと「楽しさ」

――「ほぼ日」は非常にうまくいっている例ですよね。手帳がいまや47万部も売れて、土鍋やハラマキ、書籍などの物販でしっかり稼いでいます。糸井さんは、稼ぐことやおカネに関して、どういうスタンスを持っていますか。

 「お客さんがおカネを払いたくてしょうがないものをつくればいい」って考えてます。だから、稼げないというのは、何かが相手にとって魅力がないんだと思います。「どうして売れないんだろう?」じゃなくて、売れないものをつくってるからだって。

「ほぼ日」では、土鍋からはらまきまで、さまざまな商品を売っている

ぼくらは、たとえば本を出すにしても、毎月、何冊も出さなくていいんです。出版社は何冊か出さなきゃならない義務というか、ノルマがありますが、ぼくらは売れそうだなと思ったら出せばいい。あるいは、出す必要があれば出せばいい。そうしたらラクですよね。

――「おカネを稼ごう」じゃなくて、楽しさやおもしろさを追求していたら、自然とおカネがついてくる。

まぁ、そうすると「それ、つまんないよ」っていう、いちばんキツい一言を覚悟しなきゃいけないですけど(笑)。喜ばれないものはつくってもしょうがないから、出せないです。稼ぐのは投票結果だと思ってます。

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