糸井重里「ブラック企業が生まれる理由」 糸井さんと、これからの働き方を考えてみた(下)

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――糸井さんが「つらい」と感じられるときは、どういうときですか。

糸井重里(いとい・しげさと)
東京糸井重里事務所社長
1948年生まれ。 コピーライター、エッセイスト、タレントなどとしてマルチな才能を発揮してきた。98年ウェブメディアの、「ほぼ日刊イトイ新聞」を開設。東京糸井重里事務所は、売上高28億円、純利益3億円の優良企業。著書に「はたらきたい。」などがある。

うまくいかないとき。でも、だんだんとそれは減ってきています。あんまり当てにしなくなったから、いろんなことを。

――当てにしない?

一足飛びに期待すると、つらいことが多くなるんです。ちょびっとだけ期待するのがコツ。ハードルを上げすぎても飛べっこありませんから。高すぎず、低すぎず、的確に上げられるのがいちばんいいでしょうね。

――それは自分に対しても、他人に対しても、両方ということですか。

そうです。人には優しいけれども、自分に厳しい人って案外、いっぱいいるんですよね。でも、それはダメですね。

だから、ぼくもラクをするし、つらいところは「つらい」と言いながらやる。そういうときはハードルを低めに設定します。そして、だんだん力がたまってきたら、ピョーン!と飛びたくなるから、そのときに楽しく飛べばいいんです。

ブラック企業と「楽しさ」

――最近、ブラック企業が話題になっていますが、「楽しさ」という要素がまったく出てきません。

ブラック企業って、あれ、なんなんでしょう。その言葉、すごい流行りましたよねえ。

――異様に流行ってますね。

デザイン事務所は全部ブラック企業ですよ。ブラックを超えているんじゃないかなあ(笑)。

ある程度、徒弟的な会社って、みんなそうですよね。でも、ぼくは会社を始めるときに、それをやりたくなかったから、そうじゃないようにしたんです。

たぶんなんですけど、ブラックになるのは、やっぱり稼ぎ方がまだ見えてないからですね。デザイン事務所がちゃんとどうやって稼ぐかをわかって、仕事の配分を上手にしていけば、あんなにブラックにする必要はないのかもしれない。

ブラック企業って、実際になかを見てみないとわからないですけど、大変だろうなあって思いますね。社長もそこで働く人も、両方が気の毒。

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