ももいろクローバーが突く、AKB成功の罠

AKB総選挙をグローバルエリートが分析

AKBの海外進出は成功しない?

既存路線の延長で長らく独占を続けてきた国内のアイドル市場シェアを維持できないのはAKBもわかっているため、インドネシアや中国などアジアの成長市場にコンセプトを輸出して海外市場を獲得しようとしているのは、日本の多くの産業に共通した動きだ。

上海でもジャカルタでも、少女たちが海外で頑張っているのはぜひ応援したいが、海外でのアイドル市場が育てば皮肉なことに、現地のローカル・アイドルグループが育って市場の果実はすべて持っていかれるだろう。AKBはこれらの市場でアーリームーバーだが、初期投資で市場の立ち上げを担った後は、ローカルのレイトカマーに市場を持っていかれるのではないか。

なおアイドルは各市場でトップクラスのシェアを占めないとコマーシャル価値がゼロなのだが、中国やイスラム圏のインドネシアで局地的なファンは獲得できても、社会的なブームを巻き起こすトップアイドルグループにはなれず、投資コストに見合うリターンが長期的に獲得できるかは、甚だ疑問である。もちろん成功とは定義次第であり、採算性を度外視して日本のクールなアイドル文化で文化交流、というのが“成功”であれば、民間資金でそんなことをやっていただいて感謝すべきことなのだが。

NMB48やHKT48の不安定性

なおAKBの人気の起点である“会いに行ける、ローカルなアイドル”というコンセプトの拡販には成功し、大阪でも博多でもグループ参加のHKTなどが人気を博しているという。ただし“ご当地アイドル”には(活躍しているメンバー自身の充実感とは別に、コマーシャルの視点で言えば)限界があり、人気が一定以上出たアイドルは上京を狙いよりメジャーなグループで全国区を狙うだろう。

AKB創生メンバーのような下積みとトレーニングを受けず、アイドルになる夢だけを見て入ってきた人たちは、AKBの3Aというか2Aというか、2軍的な位置づけでは満足せず、(それが原因だとは言わないが)NMBメンバーの大量離脱に見られたように、チームの入れ替わりが激しくなり安定性に欠ける。

なお全国区のAKBと地元のHKTとかの違いは、AKBは全国区のブランド価値をテコにCDや広告、タレント業務で日本市場全体から稼げるが、地方グループは実質、全国区からの大きな利益をAKB本体と争うことができないため、SKEの一部メンバーを除きアイドルとして長らく食べていくことができないので、野心的なトップタレントは地方に留まってくれないだろう(彼女たちを全国デビューさせても、AKBとカニバリを起こすだけでビジネスとしては何もうまみがないため)。

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