AKB成功の罠~成功しすぎて、コアな商品性を失う
AKBはその「純粋な10代の若い女の子が成長するのを、オタクの俺がサポートする!」というコンセプトが原点だ。
各アイドルが決まり文句のように「まだまだ上を目指せる……」とインタビューで語るが、ここにAKBブランドの本質が現れており、「純真無垢で伸び盛りの若いアイドルを支えて盛り立て、俺のおかげでこの人たちは成長している」と信じることで自尊心を満たすという、驚きのロイヤルカスタマーがAKBビジネスの根本を形成してきた。だからこそ定期的に、総選挙などでごひいきのアイドルが頑張って下からはい上がっていく様を演出するわけだが、AKB内部での“上昇ストーリー”だけでは、AKB自体に挑戦する若手グループに対抗しきれない。
AKBが長期にわたって成功しチャレンジャーではなくエスタブリッシュメントになってしまった瞬間、皮肉なことにそのコアな商品性を失い、顧客は新たな“若きチャレンジャー”である“ももいろクローバーZ”(念のため書いておくと、私がアイドルオタクで詳しいわけでなく、このコラムのためにいろいろ調べた)などに移っていくのである。
ちなみにAKBの成功をテコに異なるセグメントを狙いSDNなど30代近辺の女性グループを売り出そうとしたが、これはAKBのイメージと懸け離れており、かつ顧客層もAKBのセグメントから年齢に応じてSDNに移動するわけではなかったため、結局、失敗した。
30代あたりの女性が「まだまだ上を……」といっても、オタクの皆さんは「自分がいるからこそ成長させてあげている」という充足感を感じることができないし、“恋愛許可”という制度もオタクマーケットのバージン信仰と相いれなかった(かといって私はAKB48の皆さんに恋愛・交際禁止するのは重大な人権侵害だと思っているが)。
なおAKBの人権侵害で思い出したが、以前、チョコレートか何かをメンバーが口移しのキスでわたす、というとんでもないCMが物議を醸したが、しばしば特集された松井玲奈と松井珠理奈さんのレズビアンを髣髴とさせる(しかも片方は未成年)エロティックな写真といい、少女の性を食い物にしたロリコン的な商品戦略も、重大な人権侵害だと思っている。
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