医者の「風邪の診断」はけっこう曖昧だった! それでも病院に行く必要はありますか?

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絶対に検査ができないか?と言われると一部の研究機関などではできなくはないのですが、やるとしても上気道の粘膜から組織をとらせていただき、ウイルスが組織に侵襲を起こしていることを病理学的・微生物学的に同定することになります。

このような検査は患者さんの体に負担がかかる(侵襲的な)検査でかつ時間もかかり、そして高価な検査になります。そして何より、結果が出る頃には風邪は治っているでしょう……。本当にそのような検査をやりますか?となるわけです。

医師のせいではなく、現代医療の限界

ここで気がついてほしいことがあります。それは、風邪を確定しない医師が悪いわけではないということです。そうではなく、検査に関係した現代医療の限界のひとつなのです。

病院に行くとすべてがクリアカットにわかるもの、と患者さんは思いがちです。しかし、似たような現代医療の限界はさまざまな場面であり、そのもっとも身近な病気が風邪なのです。

これからの医療では、ぜひ患者さんもこの“医療の限界”を理解していただき、どこまで検査をするか? どこまで治療をするか? そのメリット・デメリットをキーパーソンとなる家族と相談し、医師だけではなく薬剤師や看護師といったさまざまな医療者とともに話し合って方針を決めていくことが重要です。当然その中でもっとも大切なことは患者さん自身の十分な理解と意志であることは間違いありません。

これまでもそうだったのですが、検査・治療などの決定において、今後はますます患者さんのご協力が欠かせません。

それにはいくつか理由はあるので患者さんにとってもいろいろメリットがあります。

・過剰な検査による弊害を減らせる(嘘の検査結果:偽陽性にふりまわされない、検査の合併症を減らせる)
・必ずしも必要ではない治療による弊害(薬の副作用)を避けられる
・高額な医療費を軽減できる(家計にも優しい)
・病院受診による医療暴露による耐性菌の獲得や別な感染症をもらって帰ることが減る

 

できるだけわかりやすく説明したいと思っている医師はたくさんいるので、ぜひご協力いただきたいのです。そしてこれこそが、納得の行く医療につながり、なにより患者の皆さんが真に身を守ることにつながります。

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