日本初「健康な人ほど得する」医療保険の正体 ビッグデータをリスク解析し適正保険料を算出
病気やケガの際の入院・手術などを保障する医療保険は、通常、年齢と性別の違いによって保険料が決定される。だが、ここに「健康」というファクターが加わると保険料はどうなるか――。この答えに対して独自開発の「健康年齢」という指標で保険料の算出を可能にしたのが、4月に設立された健康年齢少額短期保険が販売している「健康年齢連動型医療保険」だ。健康状態の違いによってきめ細かく個人のリスクに見合った保険料を提示する生命保険は日本で初めてであり、業界関係者やマスコミの大きな注目を集めている。
6月17日の販売から2週間の売れ行きを同社に聞くと、「健康年齢を算出できる当社ウェブサイトへのアクセスは1万件を超えていますが、反響の割には保険商品の実際の販売には正直あまりつながっていません。現状では1日数件の成約で、6月末時点ではトータルで数十件の契約獲得となっています」と大橋宏次代表取締役社長は率直に語る。
現状の販売ルートは同社のウェブサイトを通じてのインターネット通販のみ。一般の保険会社と比べて規模も認知度も小さい少額短期保険という事業形態も、スロースタートとなっている要因と言えるかもしれない。ただ、複数の保険商品を取り扱う乗合の保険代理店からは「商品に興味がある。ぜひ取り扱わせていただきたい」という声が殺到していると大橋社長。商品や保障内容が多様化し群雄割拠する医療保険の世界で、プロの保険代理店が指名する同社の保険とはいったいどのような商品なのか。
健康年齢という指標を独自開発
健康年齢連動型医療保険の最大の特徴は、「健康年齢」という実際の年齢とは異なる指標に基づいて保険料が決定されることだ。「平均寿命」に対して、"健康という自覚を持っている期間"である「健康寿命」という年齢指標は、日本の健康推進戦略である「健康日本21」などでも用いられているが、現時点の健康状態を数値で示した健康年齢という概念は、同社が開発した独自指標だ。
健康年齢は、実年齢と性別に加えて、①BMI(ボディ・マス・インデックス)、②収縮期血圧(最高血圧)、③拡張期血圧(最低血圧)、④中性脂肪、⑤HDLコレステロール、⑥LDLコレステロール、⑦GOT、⑧GPT、⑨γ-GTP、⑩HbA1c(もしくは空腹時血糖)、⑪尿糖、⑫尿蛋白、の健康診断で使われる12項目の健診データに基づいて算出される。検診の数値が良ければそれだけ健康年齢は低くなり、悪ければ健康年齢が高く出るというわけだ。
画期的なのは、健康年齢の算出に加えて、その年齢ごとに病気になるリスク、入院するリスクなどをはじき出し、個人の健康状態に見合った保険料を算出してしまったことだ。従来、性別・年齢別には病気の発生確率や入院日数、手術の有無などの確率は、厚生労働省の患者調査や保険各社の顧客データベースなどからはじき出すことは可能だったが、健診のデータに基づいて個別の保険料を算出することは不可能だった。
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