医師のアルバイト時給は正社員よりも割高!
アルバイト医師の給与が割高ということについては、ベストセラーとなり映画化もされた『孤高のメス』を書かれた大鐘稔彦医師が、「患者を生かす医者、死なす医者」(朝日文庫)という本の中で、その問題について触れられています(一部抜粋)。
《常勤に比べて、非常勤の給与は相当に割高である。正規の社員よりアルバイトの方が割安だから好んでアルバイトを使うというのが世間一般の常識であろう。医者の世界はこうした世間の常識にまったくそぐわない。非常勤の方が実労働の実入りがはるかにいいのである》
なぜここまで割高なのかは私も詳しくはわかりませんが、昔は大学医局に属する医師が多く、常勤医師の給与としては薄給であったため、外でのアルバイトの収入を上げることによって、医師としての給与のバランスを取っていた名残があるのではないかと思います。派遣される側の病院にとっても、大学医局からの派遣のアルバイト医師の存在はありがたく、給与水準を上げることで、今後のつながりを大学医局側に期待した風習があったのでしょう。
なお常勤医師の給与については、その病院の立地や働き方、科目の違いや勤務する医師の年齢などを基に、病院ごとに独自に決められ、給与の違いについてはある程度説明がつきます。
ただアルバイトについては、仕事内容がある程度一律であり、給与の差というものが各病院でつけにくい雰囲気があるのも事実です。
たとえば同じ県にあるA病院とB病院において、一般内科の外来アルバイトの給与が
A病院:1コマ5万円(時給1万2500円)
B病院:1コマ3万5000円(時給8750円)
(*1コマというのは午前および午後の外来の1つの枠のことを言う)
という違いがあると、どの医師もA病院へのアルバイトに流れてしまいます。
医師を取り巻く世界というのは非常に狭く、横並び意識も根強く残っており、病院側もほかの病院と比べて突拍子もないことはしたくないものなのです。それゆえ医師のアルバイト収入については昔からの慣習に従い、時給1万円という高止まりの状態でこれまで来ているということが言えそうです。
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