井手:正義の味方がいて困った人を助けるというのが、日本人の頭の中にあります。でも、貧しい人のための政策をといっても、多くの人がそっぽを向く。でもみんなが得をする時にはみんなが支持をする。だったらそうするべきです。左派やリベラルは正義の味方になりたがるけど、正義をちらつかせるほどみんな引いていく。だったらお前が払えよ的な。
木本:正義の味方には用心しないといけないんですね。
分断社会解消のヒントとは
井手:もうひとつ、「みんなが得をする政策」のお話をしましょう。埼玉県に県立浦和高校という高校があります。
木本:東大合格者がたくさん出ている埼玉県の男子校ですね、聞いたことがあります。
井手:その浦和高校の卒業性である佐藤優さんから教わったことですが、実は浦和高校には分断社会解消のヒントが隠されているんです。
浦和高校はイギリスのホイットギフト校と姉妹校締結を結んでおり、交換留学制度がある。滞在期間が3カ月程度の場合、個人負担分は約37万円になるのですが、この負担は大きいですよね。ですから、本人負担は一律7万円。残りの30万円は、卒業生からの寄付によって作られた基金で賄っている。つまり貧しい家の出身の子弟だけでなく、富裕層の子弟でも自己負担分は一律7万円なんです。
この仕組みのいいところは、「貧しいから助けてもらった」というレッテルを貼られて負い目に感じる必要がない。そういうルールなんだから、ってことですよね。僕は、こういう受益のあり方が理想的だと思っています。
木本:なるほど。それはいいですね。芸人の間でもお互いがライバルとしてしのぎを削っているけれども、劇場やチケットの販売というものは、大御所であっても新人であっても必要なもの。そうしたものをみんなで負担して、みんなで受益をする、という仕組みがいいような気がしてきました。
井手:そうです。もし、貧しい家庭出身の芸人は負担が大きくてとてもではないが舞台に乗れない、といったらおかしいじゃないですか。
唐突かもしれませんが、僕はすごく頭がいいんですよ(笑)。東大出て慶應の教授になってね。あ、感じ悪くてごめんなさい(笑)。「お前アホやな」思うかもしれませんが、最後まで聞いてください。
木本:おもろいなと思ってます。自分で頭いいという人に初めて会いました(笑)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら