格差を是正できる「必要の政治」とは何なのか

この日本から「理不尽」を無くすことは可能だ

分断社会を終わらせるためにはどのような政策がいいのか。井手英策さんに聞きました
わたくし、TKO木本武宏が、複雑な現代の世の中についてその道のエキスパートに教えを乞う対談。第7タームは、井手英策さんにお越し頂きました。慶應大学で教鞭をとられている私と同世代の気鋭の論客です。最新刊『18歳からの格差論』を僕も読みましたが、目からウロコの提言がイッパイでした。4回目は「必要の政治」について伺いました。

分断社会を終わらせるための政策のあり方

この連載の過去記事はこちら

木本:井手さんは、分断社会を終わらせるための政策のあり方として、「必要の政治」という考え方を提案されています。これをわかりやすく説明していただけますか。

井手:教育や医療、介護など「人間に共通して必要なサービス」を所得の多い少ないにかかわらず提供するんです。税もみんなで負担する。痛みも喜びも分かち合うことで、人間と人間の対立軸をなくしていくことです。僕は新しいことを言っているわけではない。たとえば、農村では今でもみんなで助け合ってやっていますよね。

木本:はい。お祭りをやるのも、みんなで助け合っていますね。

井手:消防団がありますし、警察の代わりの自警団もあります。金持ちだけが負担するのではなく、みんなが負担するのです。その分、受益を受けるのだって、みんなです。

この考え方が重要です。大学にみんなが行けるようにする、保育園にもみんなが行けるようにする、そして介護をみんなが受けられるようにする。つまり家族のように助け合って日本人が生きられるようにする。この発想が重要になると思うのです。

みんな自分の家族のメンバーに学校に行って欲しいし、仕事を見つけて幸せになって欲しいと思いますよね。家族がたとえ障害を有したとしても安心していろいろなサービスを受けられるようにしてあげたいじゃないですか。みんなが受益者になっていくような社会に変えていきたい。

これはできると思うんです。みんなに配る仕組みだから、他のみんなも幸せになっているけれど、同時に自分も幸せになれるようにする。みんなが幸せになると自分が得をする、そういう仕組みに財政を作り変えるのが大事なのです。

次ページ多くの人が不寛容になる理由
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • 親という「業」
  • コロナ後を生き抜く
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
正規と非正規「格差訴訟」<br>判断が分かれた最高裁判決

非正規労働者が年末年始の待遇や病気休暇などについて正社員との格差是正を訴え、最高裁は格差は不合理で違法とする判決を出しました。一方で賞与や退職金についての格差是正はほぼ全面的に退ける判決も。非正規労働者の待遇は改善するのでしょうか。

東洋経済education×ICT