安倍首相提案の「育休3年」は長過ぎる ガラパゴス化している、日本の女性活用【第4回】

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確かに生まれて1、2年は子どもが病気がちだったり、保育園に入れなかったりといった個別の事情もあるだろう。長期取得ができないために不本意ながら仕事を辞める人も少なからず存在する。そうした人たちにとって、育児休業が長ければ助かるだろう。

筆者もこうした保険的制度は否定しないが、それでも育休3年取得が一般化することには問題が多いと考える。

目標と政策が矛盾

最大の問題は、男女の固定的役割分担が強化されてしまうことだ。日本の現状だと、長期間女性が家庭に専念することが多くなると予想される。「家に妻がいるから」と夫の家庭責任の免除期間を長期化させることになりそうだ。

さらに長期間、仕事を離れることで女性の活躍推進は間違いなく後退してしまう。諸外国では休業が評価や昇進、昇格に影響を及ぼすことはないが、日本の人事制度はまだ年功序列の色彩が強い。休業したらその分昇格は遅れるため、1年でも育休を取る女性の管理職への道は遠くなる。3年となればなおさらだ。

「2020年までに指導的女性リーダーを30%以上」を目指す政府だが、現状ではこれはとてつもなく大きなチャレンジで、大胆かつスピーディーに取り組まないと達成できないだろう。「育休3年」を推奨することが、その目標達成の大きな足かせとなるのは明白だ。

つまり、政府は女性を飛躍的に活躍させるという意欲的な目標を立てているにもかかわらず、政策でそれを妨げるのである。

注目に値するノルウェーの「パパ・クオーター制」

ここで仕事と家庭の両立と女性の活躍推進を同時に達成していることで有名な北欧―ノルウェーとスウェーデンの育児休業施策を見ていく。両国は男性の育休取得率がずば抜けて高いことをご存じの方も多いだろう。

欧米諸国の女性の労働力率は日本よりも高いが、一昔前は日本よりもはるかに専業主婦が多く、「男性は外で働き、女性は家庭を守る」ことが日本以上に浸透していた。働く女性が増え始めたのは、女性が仕事でやりがいを得たいとか、能力をフルに発揮したい、などという「かっこいい」理由からではなく、夫が一人で家族を養えなくなったという経済的な必要性からだった。

現在は「イクメンの代表国」というイメージのある北欧も例外ではなく「家庭は妻の仕事」だったため、昔から男性が積極的に家庭に関わっていたのでは決してなかった。男性の育児休業取得率は日本同様に低く、育休は当然のように女性が取るものだった。それが政府のビジョン実現への強い想いと戦略的な施策により大きく変化していったのだ。

ノルウェーでは1977年から、父母への育児休暇を導入していたが、90年代初期までの男性の育休取得率は現在の日本とさほど変わらず、数%に過ぎなかった。そこで政府はより多くの男性の家庭参加を推進するため、父親しか取得できない育児休暇期間「パパ・クオーター制度」を93年に導入した。

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