安倍首相提案の「育休3年」は長過ぎる

ガラパゴス化している、日本の女性活用【第4回】

父親の「子育て3か月育休」は当たり前

現在、所得補償のある育児休業を両親合算で100%給付・最長46週間(11.5カ月)または80%給付・56週間(1年2カ月)取得できるが、父親が割り当てられた期間を取得しなければ、その分の権利は失われてしまう。

パパ・クオーター制の期間は、93年に初めて4週間が定められ、その後09年に、6週間から10週間に、11年には12週間に延長されてきた。13年7月にはさらに14週間への延長が施行される予定で、ノルウェー政府の男性の家庭参加推進への強い想いが感じ取れる。

パパ・クオーターの効果は絶大だ。93年に導入前の男性の育休取得率は数%程度から、現在では90%にまで達し、父親が子育てのために3カ月の休暇を取ることは「当たり前」にまでなった。

 女性の社会進出に不可欠な男性の「家庭進出」

次にスウェーデンをご紹介しよう。スウェーデンの所得補償のある育児休暇は父親と母親に240日(8カ月)ずつ、合計480日(1年4カ月)。父親も母親も最低60日分(2カ月)は自身で利用し、残りの180日(6カ月)はパートナーに譲渡できる。給付額は最大で給与の8割で、給付を受けながら育休を取る場合、父親も休まないと損をするため、父親が積極的に育休を取得するインセンティブとなっている。これにより現在、スウェーデン男性の育休取得率は80%にまで達した。

ただ、両国の手厚い所得補償は高い国民負担率から成り立っており、国民の税金から育休中の所得補償を捻出している。タダで実現できるわけではないことは忘れてはいけない。

さらに注目すべきは育休の長さだ。手厚い両立支援で有名な北欧でも、女性はノルウェーで最長9カ月から11.5カ月と一年未満。スウェーデンでも1年2カ月の育休しか取れない。そして、父母の育休期間を合わせても最長でノルウェー1年2カ月、スウェーデン1年4カ月なのだ。日本の「育休3年」はとてつもなく長く見える。

男女平等社会を目指す両国が認識していることは、「女性の社会進出」に不可欠なのは「男性の家庭進出」だということである。そして、その推進に向け、男性の育休期間を延長し、高い所得補償をインセンティブとして与えることにより男性の育休取得率を飛躍的に高めたのだ。

女性が社会で活躍するためには、女性だけが仕事を長期間、休み子育てに専念させるのでなく、父親と母親が共に家庭責任をシェアし、同時に仕事で能力も発揮できる環境が求められる。また、母親だけでなく、両親が子育てに関わることは子供が健全に育つことにも貢献する。北欧諸国はその環境整備を施策で推奨し、目標を達成しているのである。

政府には、北欧の例から「育休3年」の意味と影響を再検討し、目指す「女性の活躍を中核とした成長戦略」と一致する両立支援策を掲げていくことを願うばかりである。

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