外国人投資家は、日本株を買い増すのか 吉崎 達彦が読む、ちょっと先のマーケット

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日本企業が本格的に動き出すのは、夏ごろ?

ところが豊田章男社長の記者会見は、「スタートラインに立てただけ」という慎重なものであった。せっかく円安で儲かっているのだから、「今でしょ」とばかりに、設備投資や雇用拡大や賃上げに邁進してもらいたいところである。

ただし決算をよくよく見ると、トヨタは2008年のリーマンショック後も「国内生産300万台体制」を維持して、国内では巨額の損失を我慢してきた。たまたま今年は利益が出たわけだが、そんなにすぐに変われるかよ!というのが現場の正直な感覚なのだろう。

ちなみに日産自動車の決算は前年をやや下回っていて、これはいかに東南アジアなどで生産を増やし、円高対策に余念がなかったかを意味している。おかげで日産は円安メリットを享受できなかったとことになる。が、これはどっちが正しいというものではあるまい。あのまま円高が続いていれば、日産が正しくてトヨタが間違っていたことになる。企業経営は結果がすべてであり、理屈は後からついてくるのである。

では、これからどうなるのか。
なんだかんだ言って、日本企業は夏ぐらいから本格的に動き出すんじゃないかと筆者は考えている。このあたりは、商社の中で30年近く過ごしてきた者の体感みたいなものだが、5月の決算から6月の株主総会までの1か月は、企業にとっては微妙な時期である。総会の準備やら何やらで社内はバタバタしているし、やたらと会議が多い。後から考えてみると、何をしていたのか思い出せなかったりする。

この間は、会社全体のコンセンサスづくりの期間なのであろう。換言すれば、「今年はどこまでいけるか」の腹をくくる時期なのだと思う。外から見ると、何をしているんだかまだるっこしく見える。ただし集団主義で、ボトムアップで動く日本企業においては、そういう過程が必要なんじゃないかと思う。
問題は、日本企業は口下手でしかも英語下手なので、その辺を外資にうまく説明できないことである。筆者が知る限り、日本を訪れる外国人投資家はいつもフラストレーションを抱えているように思える。まあ、説明は下手でも、とにかく結果を出せばいいんですけどね。

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