“就活解禁の後ろ倒し”、メリットは皆無? 常見陽平氏が一刀両断
また、理科系の学生にとっては、3月スタートにすると卒論作成に負担がかかります。
キヤノンマーケティングジャパンは2011年新卒採用から4年生の夏に選考を行っていましたが、2014年新卒採用から理系の選考は4年生の4月に変更しました。結局、すべての学生に適した解禁時期などないのです。
――昔は夏に就活をしました。夏でも問題ないのでは?
昔とは状況がまったく異なります。まず大学数が大幅に増加しました。また、以前は理系学生はエンジニアや研究職に就くというのが一般的でしたが、最近は進路選択の幅が広がっています。
また、夏に就活をしていた時代においても、実際はかなり早い段階から学生を囲い込んでいました。昔できたのだから、今もできるというのは暴論です。
解禁時期を一律に縛るのは無理
――後ろ倒しにすればすべてうまくいくほど単純ではないのですね。
実は大学の偏差値、地域によって就活の時期は異なります。地方は東京よりも就活の時期が遅くなっています。また、入試偏差値の低い大学の学生は就活を開始するのがとても遅いです。大学生といってもいろいろなのに、協定や憲章で一律に縛るのは無理があります。
――採用する企業にはどんな影響がありますか?
商社などで構成する日本貿易会は、以前から選考開始を夏にするように主張してきましたが、日本貿易会所属の企業に就職する学生はわずか1800人程度です。大手だけに絞れば約700人にすぎません。就職する学生が日本全体で約36万人もいることを考えれば、圧倒的少数です。それにもかかわらず、日本貿易会の主張が通ったのはおかしいという意見があります。
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