福岡で11歳児の国際交流が28年も続く理由 アジア太平洋地域の1万人超がホームステイ

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派遣事業でモルディブにホームステイし、現地の小学校に登校した小学4年生の男子

「小さいうちに海外の子どもと接すると、その子たちの意識は確実に変わる。明日を担う子どもたちに、思いやりの心を持った地球市民になってほしい」とAPCCの活動目的を話す久保慎一郎専務理事。外国の子に接してからテレビのニュースを気にしてみるようになったという小さな変化から、海外に留学した、英語を猛勉強してキャビンアテンダントになった、国際機関で働いているなど、APCCをきっかけに海外へと羽ばたく子どもが増えている。ホストファミリーやウィングキッズには定員以上の応募があり、応募の男女比は1:3ほどと圧倒的に女子が多いのも特徴だという。

APCCについて、注目すべき点は二つあるだろう。一つは、28年も続いていること。行政主導ではなく、市民レベルで11歳の子どもなど1万人以上を迎え入れたという実績は大きい。二つ目は、それを支えるボランティアの存在だ。事務局スタッフはたった10人ほどで、理事長をはじめ実行委員、招聘の部会、派遣の部会、広報部会、資金部会まですべてボランティアスタッフが運営。ホームステイの受け入れ家庭は7000ファミリー、登録ボランティアは7500人を超えている。

アジアの玄関口である福岡の県民性もマッチ

特にホームステイでは1週間から10日ほど異国の子どもを受け入れることになり、中には言葉がまったく通じなかったり、イスラム教で食事やトイレの習慣がまったく違ったりと、さまざまな課題が伴う。しかも受け入れ家庭には11歳程度の子どもがいることが条件とされているため、同じ家庭がずっとホストになるのではなく、次々と受け入れのバトンをつないでおり、毎年ボランティアに手が挙がるというから素晴らしい。

福岡はアジアの玄関口であり、開放的で情に厚く、世話好きという県民性が知られているが、まさにAPCCの活動にその県民性がマッチしているのではないだろうか。多くの人たちから「福岡の宝」と言われるようになったAPCC。2年後に30周年を迎え、今度、どのような広がりをみせるのか楽しみだ。

佐々木 恵美 フリーライター・エディター

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ささき えみ / Emi Sasaki

福岡市出身。九州大学教育学部を卒業後、ロンドン・東京・福岡にて、女性誌や新聞、Web、国連や行政機関の報告書などの制作に携わる。特にインタビューが好きで、著名人や経営者をはじめ、様々な人たちを取材。

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