生徒が先生の授業を「評価」する?
――男性の先生が女子校にくると、いろいろと大変なところもあるのではないでしょうか?
確かに、若い男性の先生がくると、生徒たちもかなりテンションがあがるみたいです(笑)。ですが、きちんと授業の中身が伴っていなければなりません。豊島岡の取り組みとして、「生徒が授業を評価する」ということが挙げられます。板書はわかりやすかったか、知識は十分に獲得できたか、そういったことを5段階で生徒たちに評価してもらうのです。
――先生にとってもいい環境ですね。
昔からの授業内容を使い回すなんてことは絶対にありません。日々、授業内容も、スタイルも進化してほしいのです。
ですから、廊下を挟んで向かい合っている教室では、先生の立つ位置が逆になっていて、向かいの教室ではどの先生がどんな授業をしているかがお互い見えるようになっています。冬季や夏季の講習も、生徒からの一定数の応募がなければ開講されません。先生たちも切磋琢磨ですね。
豊島岡の生徒は空き缶が落ちていたら……
――女子御三家の校風を表す話として、空き缶が落ちていたら…という話があります。もし空き缶が落ちていたら、桜蔭生は「本を読んでいて気づかない」、雙葉生は「きちんと拾ってゴミ箱にすてる」、女子学院は「缶蹴りを始める」という話です。
では、御三家に迫る勢いと言われる豊島岡生は空き缶が落ちていたらどうするでしょうか?
「競って取りに行く」でしょうね。豊島岡での生活を一言で表せば「競争と協力」、すなわち「切磋琢磨」でしょう。先ほどの月例テストのほかにも乗り越えるべき小さな試練はたくさんあります。
たとえば体育の授業でバレーボールをするにも、「サーブが○回終わるまで帰れない」とか「トスが○回続くまで終わらない」という「小さな関門」があります。こういうことを言うと笑われる方もいますが、生徒はそういう小さな試練を克服して強くなっていくのです。こうした取り組みに対して「厳しい」という声もありますが、生徒全員が経験することならそれは「苦痛」ではなく、「一致団結して乗り越えるべき壁」だと思います。
よく、合格実績だけに着目して、「豊島岡は受験塾だ」とか「ガリ勉だ」と言われると、ちょっと「それは違うぞ」と一言、言いたくなりますね。