「組織密度」と「組織熱量」で最強の中堅企業に

「体質」を誇る中規模の「城」が日本の競争力を高める

それでは、「組織熱量」を最大化するためにはどうすればよいのか。それは経営者が自らのビジョン、夢を掲げ、社員全員に浸透させることが不可欠だ。みんなが共感し、「やろう!」と思う目標・ゴールを心底共有することによって、「組織密度」は「組織熱量」へと変換する。

日本電子では栗原権右衛門社長が世界トップレベルの理科学機器メーカーとして「トータルソリューション」を提供するというビジョンを掲げ、その総合力を活かそうと邁進している。コープさっぽろは大見英明理事長がリードし、従来のスーパーマーケットから「食のインフラ」へと着実に進化しつつある。

ナイスは平田恒一郎社長の決断で、戸建て住宅事業へと大きく舵を切り、自らその陣頭指揮を執っている。島精機製作所は創業以来、島正博社長の号令の下、「世界初」に挑戦し続けている。

こうした不連続性の高い経営目標は、当初は社員たちには単なる「ホラ」にしか聞こえなかったかもしれない。しかし、経営者の本気さはやがて社員たちに伝わり、組織を挙げた退路を断った取り組みへとつながっていく。経営者と管理職、そして現場が同じ夢を共有し、ひとつにまとまって「ホラ」を「ホラ」で終わらせないために、突き進んでいく。経営者の「ホラ」なくして、「組織熱量」が大きくなることはありえない。

日本企業に元気で、良質な中堅企業が多いのはけっして偶然ではない。高い「組織密度」と大きな「組織熱量」。この二つの要素が揃うことによって、強靭な「体質」を持つ中堅企業は生まれてくるのである。

日本企業は「城」であれ

和歌山市郊外の島精機製作所を訪ねた時、私は「ここは現代の城だ!」と感じた。ガラス張りの洒落たデザインの本社ビルはまさに「島城」であり、そのお膝元には城と一体となって自社工場、協力工場が連なっている。城を中心にひとつの「藩」が形成され、一心同体の組織運営が行われる。そして、社員たちの帰属意識はきわめて高い。

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