「SCOOP!」監督は雑誌の仕事をどう見たか

「すぐに雑誌がなくなることはない」

――作品を見ていて「盗写1/250秒」が放映された1980年代の雰囲気が出ているように思えます。それは意図されたものなのでしょうか。

むしろアップデートした感じで、今っぽい感じで作ったつもりです。音楽も洗練された今どきのもので作っている。ただ、ここ数年の傾向として音楽を担当した川辺ヒロシさんをはじめ、最先端のクラブミュージックを作る人たち間では1980年代、1990年代のレイドバックやビンテージ物のシンセサイザーを使うといった流れがある。そういう意味で80年代の雰囲気が出ていることは否定しません。

東京の夜の街がやたらと出てくるとか、松田優作さんや萩原健一さんがやったようなドラマは、中年の男が主人公でいわゆるピカレスク(悪者やアウトロー)的な作品。主人公が悪態をつきながら事件を解決したり物語が進んだりするドラマが昔は多かった。一方、ここ最近の傾向として主役の若年齢化があり、ピカレスク的な主人公を据えた作品が少なくなっている。ベテランはベテランでもっと立派な役をやりたがる。

今回の「SCOOP!」のような、ろくでなしが主人公みたいな作品が少ないからそう見えるのではないかと思います。1970年代、1980年代に作られたドラマは、反体制的な主人公の心情を描くアメリカン・ニューシネマの影響を受けていましたが、この作品もそれを狙った部分はたしかにあります。

「制服社会」は自分には描きづらい

「主役の若年齢化があり、ピカレスク的な主人公を据えた作品が少ない」と大根監督©2016映画「SCOOP!」製作委員会

――大根監督の作品は監督と同じ40歳前後の世代が共感するというか、その世代の人たちが若いころに影響を受けてきたものをうまく表現しているように思えるのですが。そうしたことを意識されているのでしょうか。

意識して自分が影響を受けたものをもう一度やるというのは一切ないです。ただ、たぶん監督として作り手としてより、自分が観客として観たいものを考えるので、意識していないところで必然的にそういう作品になっているかもしれないですね。

あくまでも、いろんな世代に楽しんでももらうべき作品を作るように考えていて、40代をターゲットにしていることはないです。一番は20代後半から30代前半のOLさんに誉めてもらいたいという気持ちで作っています(笑)。

――『バクマン。』はジャンプ編集部、そして今回の『SCOOP!』は写真週刊誌の編集部と、雑誌編集部が登場する作品が続いています。雑誌編集部への興味やこだわりというのがあるのでしょうか。

たまたま重なったというのが正直なところです。ただ、自分がリアリティを持って描ける社会、会社という点で雑誌編集部は性に合っている。そもそも、全員がスーツや制服といった「制服社会」が自分には描きづらい。

だから社員を中心にいろんな人が出入りし、何を着てもかまわない雑誌編集部を舞台にしてきた。単調でも、画一的でもない部分が自分に合っているのとだと思います。でも次回作(『奥田民生になりたいボーイ・出会う男すべて狂わせるガール』、2017年公開予定)も雑誌編集部が舞台、これだけ描けば何かあるかと思われますよね。

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