中間管理職は社長の振るう「タクト」を見よ モンベル会長 辰野勇

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管理職は地位ではなく役割

いずれにせよ、中間管理職のいる現場でしか見えないことはいっぱいありますから、会社の方針を理解しながら現場を見て、包み隠さずトップに伝えていくということも必要です。トップはその情報を基に決断していくわけですから、情報が間違っていたら困ります。企業を人の体に例えるなら、中間管理職は毛細血管の先々まで見えている立場です。脳に間違った信号を送ってはいけません。

管理職とは地位ではなく、役割にすぎません。マネジメントの立場についたからといって、偉くなったと思ってしまったら大きな誤解です。

まずはきちんと与えられたポジションで、役割を果たして行くことが大切です。

自身がアウトドア好きのユーザーでもある社員が集まって、自分たちと同じアウトドア愛好者のお客様に必要とされるものを作り続ける。経営者は夢を語り続けることが大事だと言う辰野氏は、会長としてこれからもモンベルの真摯なもの作りの姿勢を導いていく。

経営者は将来の夢を持って、その夢を従業員に向かって語り続けるということが大事です。私自身、モンベル愛用者のクラブ組織であるモンベルクラブの会員に発行している冊子の中でも、つねにその夢を表現しています。

お客様に必要とされるものを作り続ける。これがいちばん基本的なことです。

モンベル社員は一人ひとりがアウトドア好きのユーザーです。アウトドアを理解しない人間が、モンベルの製品作りや販売に携わることは不可能です。企業を大きくすること、成長させることが目的でやってきたわけではなく、アウトドア好きの人間が集まって、自分たちがユーザーとして欲しいものを作り続けてきた。その結果として今日のモンベルにつながっているだけなのです。

製品作りに関しては、このように創業から38年間やってきたもの作りの姿勢を保ちつつ、真摯に取り組んでいます。今も2年先の製品作りが進んでいて、これは変わらず続いていきます。後は今より利益を上げて社員の給料をもっと増やしてあげたいね(笑)。社員みんなの生活をよくすることも経営者の役割ですから。

(撮影:ヒラオカスタジオ)

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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