トヨタ「86」 今さら乗ってみた 発売1年の軌跡、日本のスポーツカーは今

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エンジンをかけて停車したアイドリング状態でクラッチを切り(左足で踏み込み)、左手でギアをロー(1速)へ。両手を使って右いっぱいまでハンドルを切った(回した)後、右足のアクセルコントロールでエンジンの回転数をある一定のところに保ち、クラッチを一気につなぐ(左足をクラッチから離す)――。

記者が運転する「86」(ハチロク)は、後輪の急回転により車体の後部(テール)が滑り、瞬く間に時計方向へと回り始めた。ハンドルを右に切ったまま、アクセルとブレーキをコントロールして、車体が最初の位置から180度、ちょうど反対になったところを目安にスライドを止めた。

FR・MTのスポーツカーだからこそできる芸当

これは「アクセルターン」と呼ぶモータースポーツのドライビングテクニックだ。車体前部にエンジンを積み、後輪が駆動するFR(フロントエンジン・リアドライブ)車のうえに、手動でギアを選び、クラッチでつなぐMT(マニュアルトランスミッション=手動変速)仕様で、一般的なクルマと比べて、エンジンや足回りを強化しているスポーツカーだからこそ、可能になる芸当である。

最初に断っておくが、読者の皆さんは一般の道路や駐車場などで、アクセルターンなんて絶対にやってはいけない。人を巻き込む交通事故や交通違反になりかねないからだ(本当にやらないでくださいね)。記者はれっきとした手続きを踏んで、上記のような行為に及んでいる。

4月27日午後、東京・お台場の「MEGA WEB(メガウェブ)」。約140台の新車が展示され、一部車種の試乗もできるトヨタ自動車の商業施設で、同社が試乗コースを貸し切って開いたイベントに参加した。トヨタが昨年4月、新型スポーツカーとして世に送り出した「86」を使って、スポーツドライビングの技術を学ぶ「コントロールテクニックプログラム」がそれだ。

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