トヨタ「86」 今さら乗ってみた 発売1年の軌跡、日本のスポーツカーは今

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ただ、「実際に買う人は全体の1%以下でも、若い人の中には潜在的にスポーツカーを欲しいと考えている人は少なくとも20%はいるのではないか」と喜馬氏は言う。それにスポーツカーは、自動車メーカーにとってのブランドイメージを象徴する存在でもある。フェラーリやポルシェ、国産では日産の「GT-R」など乗っている人は少ないが、買えるかどうかを別にしても憧れや親しみを抱いている人は多い。

MT車(手動変速)車は「心・技・体」がそろわなければうまく走らせることができない

今回の取材に当たって、今さらながら「86」を公道でも走らせてみた。記者はかつて某自動車関係会社に勤め、小型車から高級車、スポーツカーなど、さまざまな車種を乗り比べた経験がある。クルマのことは一般の人より、少しだけだが詳しい。

個人的な感想になってしまうが、「86」は真っ直ぐに走らせているだけでも「ワクワクする」クルマだった。スピード感、エンジンやマフラー(排気管)の心地よい音、カッコいい内外装。コーナーでは思った以上に曲がり、絶対的ではないが十分な速さがある。車両本体価格300万円ぐらいのクルマがこんなにも楽しいとは。自家用で今、乗っているミニバンでは絶対に感じられない。

海外では日本の2倍近い販売実績

トヨタは「86」を欧州など海外でも販売しており、今年3月末までの輸出累計台数は約4万7700台と国内の2倍近い。海外ではスポーツカーは、日本ほど廃れていないということだろう。

クルマは単なる移動の道具か。確かにそうだが、それだけでもない。所有する満足感、走らせる楽しみを感じるクルマもある。その一つがスポーツカーだ。憧れを持っているのは若者だけでもないだろう。かつて熱狂した中高年世代も条件が許せば、購買意欲を持つ可能性はある。日本の自動車メーカーは、スポーツカーの魅力をまだまだ伝えきれていないのかもしれない。

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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