ワタミ会長、「中期計画」残し再び非常勤へ 現経営陣にハードル高い目標を置き土産

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渡邉会長は自らが策定にかかわった計画について「決して背伸びしているつもりはない。何ができるか冷静に見た結果だ」と説明した。さらに、説明資料に明記はされていなかったものの、10年後の2023年3月期には、連結売上高を4000億円に拡大し、国内外食事業1000億円、介護事業800億円、宅食事業1800億円、海外外食事業400億円まで伸ばすとの長期見通しも披露した。

そもそも渡邉会長が、東京都知事選に出馬するためにワタミの代表取締役会長を辞任して非常勤取締役に退いたのは、2011年2月のこと。ところが、翌12年11月に開かれた12年4~9月期の中間決算会見の場で渡邉会長は、桑原豊社長など現幹部の作った中期経営計画を批判。同月から急きょ、常勤の取締役会長に復帰した。今年1月からは、経営戦略会議を設置し、全国の外食店舗や介護拠点を巡回していた。

「宅食」成長に依存、ハードル高い新計画

今回示された新中期経営計画のハードルは低くない。まず、居酒屋を中心とする国内外食事業は、改装や業態転換などのテコ入れ策もむなしく、前2013年3月期で12年連続となる既存店の前年割れが続いている。

新計画において売り上げ成長のドライバーと見込む宅食事業も、足元では配食数が伸び悩んでいる。ワタミグループで宅食事業を担うワタミタクショクの吉田光宏社長は、「参入が相次ぎ競争が激化した」とその背景を説明。コンビニや生協などが宅配弁当を強化していることが大きく影響している。桑原豊社長をはじめ現幹部に突き付けられた中期経営計画の達成は容易ではない。

渡邉会長は中期経営計画の策定が終わったことを受けて、6月に開かれる株主総会を契機に、再び非常勤取締役に退く意向を示している。

ただ、いったん会長などに退いた実力経営者が、業績不振を理由に第一線に復帰することは、ヤマダ電機の山田昇会長が5年ぶりに社長に復帰したという最近の事例などを見ても、珍しい話ではない。渡邉氏は現時点では、「現経営陣は非常に力がついてきた。見守っていきたい」としている。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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