(第12回)日本最大級のインターンシップを実践する企業【ワークスアプリケーションズ】

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--インターンシップと並ぶ御社のユニークな施策である3年・5年の入社パスの誕生秘話を教えてください

 入社パスの発案は完全にCEOの牧野ですね。人の能力とはその年限りで消滅するものではない、ワークスの1ヶ月にわたる厳しいインターンシップを突破できたのなら、その能力は数年間保証できるし、そうした人材には、チャレンジしたければいつでもワークスに入ればいいということに繋がり、能力に応じた有効期限を設ける形で3年・5年の入社パスに変化していったのです。

--各種のインターンシップについて大学や他企業からの反応はいかがですか

 他社からは「ユニークなことをよくやっていますね。一度、話を聞かせてください」という声が多いです。弊社はインターンシップをパスした学生を拘束しているわけではなく、むしろキャリアの選択肢を提示しているだけなのです。学生はインターンシップや3年・5年の入社パスの本質を見ており、弊社はワークスを含む将来のキャリア形成を学生に考えてもらおうとアプローチしているだけです。
 ですから、パスした学生はワークスを選択するもよし、他社を選ぶも良し、他社に就職してから猶予期間内にワークスを選びなおすもよし、とシンプルに考えているわけです。

--いったん社会人になってからパスを行使した方はいらっしゃいますか

 年間十数名程度います。世の中や他の企業を知って、その上でもう一度自分自身で決断し直した、自分の軸足で比較の基準を持った決断にはそれなりの覚悟を感じます。

--少子化、相対的な大学生の質的低下、ゆとり教育といった日本の若年労働市場に対してはどのように見られていますか。

 総じて言えば、全体なレベルは下降線だと思います。対応策として言えることは、いい人材を発掘するための取り組みに全精力を注ぎこむしかないということ。そして、いわゆる2:6:2の法則と言われるものの“2”の比率が高まるような施策を講じていくこと。この二つをセットでやっていくしかありません。
 日本では採用活動ですが、アメリカでは「Talented WAR」、つまり人材獲得競争という風に言葉が持つ意味が変わってきています。採用業務はもはや人事の亜流業務ではありません。人材が持つ意味を考えれば、社内のエース級の人材を採用セクションに投入できるかという経営判断も必要になるでしょう。また、そこまでの判断をしたのなら、エースが採用した人材が人材としてきちんと機能しているのか、という検証作業も欠かすこともできないと思います。
【このひとにお話をおうかがいしました】
小島豪洋(こじま・たけひろ)
株式会社ワークスアプリケーションズ
人事・総務グループ ゼネラルマネジャー

大学を卒業後、大手保険会社から転職して日本HPで人事マンとしてのキャリアをスタートさせ、2000年12月に人事一号社員としてワークスアプリケーションズに入社。日本HP在籍時に、アメリカにあるHPの拠点に日本から学生を派遣するインターンシッププログラムを手がけるなど、"一味違うインターンシップ"を以前から実践していた。「素晴らしい発想も大事だが、実行に移してやり切って、結果を出すことが採用業務には欠かせない」。そのためには「きちんと実行できる一工夫や響くような仕掛けを加えることが重要」と採用にかけるやりがいを語る。「ワークスアプリケーションズのインターンシップの数多くの経験者がクリティカルワーカーとして将来の日本を引っ張っていくようになってほしい」と高邁な理想を託したインターンシップに自身の夢を馳せる。

【会社/採用データ】
本社所在地:東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル19F
代表者:代表取締役最高経営責任者 牧野正幸
代表取締役最高執行責任者 阿部孝司
代表取締役最高技術責任者 石川芳郎
資本金:3,270,974千円
売上:2007年6月期実績 16,673百万円
従業員数:2007年12月31日時点 786名、1,205名(連結)

■新卒採用
2008年4月入社(実績) 102名
2007年4月入社(実績)  81名
2006年4月入社(実績) 104名

■諸制度
◆ワークスミルククラブ(産・育児支援制度)
→取得者数:産休/育休:11名 短時間勤務:6名
→産・育児支援休暇取得期間(最長):妊娠判明時から子が3歳に達した後の3月末まで
◆カムバックパス(退職後の再雇用制度)
※撮影 今井康一
採用プロドットコム株式会社
(本社:東京千代田区、代表取締役:寺澤康介)
採用担当者のための専門サイト「採用プロ.com」を運営。新卒、中途、派遣、アルバイトなどの採用活動に役立つニュース、情報、ノウハウを提供している。

HRプロ株式会社

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