相続争いを想定していない人に教えたい泥沼 少ない財産だからこそ遺言書が必要だ
遺産の相続人と遺産の割合は民法上では次のように定められ、①~③の順に優先されます。
① 配偶者と子や孫
→ 配偶者2分の1、子や孫2分の1(子が複数のときは均等に分割。子が先に死亡している場合は孫)
② 配偶者とその父母や祖父母
→ 配偶者3分の2、父母や祖父母3分の1(父母がふたりとも健在のときは均等に分割。父母が先に死亡している場合は祖父母)
③ 配偶者と兄弟姉妹
→ 配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1(兄弟姉妹が複数のときは均等に分割、異父母の場合は同父母の兄弟姉妹の相続分の2分の1)
民法上の相続人に該当しませんが、「兄のお嫁さんが父の面倒をよく見てくれた」など、親に貢献度の高い人も忘れずにピックアップしておきましょう。親がその人に財産をあげたいと考えているかもしれないからです。
我が家はセレブでもないし、大した遺産もない。こんな家庭ほど、じつは遺産相続でもめやすいのです。資産がある家庭は、遺言書を準備したりして、事前にトラブルを回避しているからです。たった300万円しかない親の貯金で、骨肉の争いをするご家庭はたくさんあります。
「お兄ちゃんはマンション買うときに親に1000万円援助してもらったんだから、その分遺産から1000万円引いてよ」
などと、権利意識、嫉妬、ひがみなどの、今まで隠されてきた本性が、一気にむき出しになるのが遺産相続。「うちのきょうだいは仲がよいから大丈夫」と楽観していると、受けるショックも大きいかもしれません。
きょうだいがいない場合はもめごとも少ないですが、複数いる場合には、以下のようなことで起きるトラブルに気をつけましょう。
・相続するものが土地、建物、宝石などの現物で、相続人の間で等分できない
・財産がマンションだけ、土地だけなど、ひとつしかない
・親に借金がある
現金は分配しやすいけれど、たったひとつの土地や家、宝石などは平等に分けることができません。必然的に相続争いに発展するおそれがあります。トラブルが起きることを予期できる場合は、親の生前に財産を現金化しておくなど、対策が必要です。
遺言書は残された人へのラブレター
日本では遺言書を作成する人が圧倒的に少ないのですが、財産が少ないから不要なのではなく、少ない財産だからこそ取り合いになるのです。心配なら、親に遺言書を準備してもらってください。
遺言書は残された人へのラブレターともいわれます。法の下で公式に親が意思を伝えられる、唯一の手段です。
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