負けず嫌いのあまのじゃく、外食を変える!
新世代リーダー 花光雅丸 subLime(サブライム)代表

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外食産業は和民のように柱となる強力な業態があって、それを多店舗化することで拡大してきた。しかし今、花光の手元には多店舗展開できるような強力な業態はない。「手札がない中で、じゃんけんしないとダメなんです」。主力業態のないまま猛スピードで拡大路線を突っ走るサブラムの方向性は、確かに従来の外食とは違う。

負けず嫌いであまのじゃく?

従来の外食の手法ではなく、低コストで店舗を出店し、ブログで人集めをする。徹底的な“アンチテーゼ”を仕掛ける理由は何か。「僕はここで外食の新しいモデルを作りたい。おカネをかけずに、リスクも利益もシェアする。そんな新しいモデルを作りたいんです」。そのために結果を出す必要がある。パフォーマンスを上げなければ、説得力がない。そのために花光は事業拡大へ突っ走ってきた。どんどん店舗数を増やし、利益も出せば花光が目指すものが潮流となるときがくる。「僕はあまのじゃくなんです。人の意見は素直に取り入れますが、自分独自のやり方をします」。

花光は2011年のレインボーハットアイスクリームを展開するRHコーポレーション(当時53店)買収に続き、12年には古巣のレインズインターナショナルから3業態を譲り受けた。そして今年2月に八百八町(約70店)を買収する勝負に出た。

八百八町の前オーナーだった石井は1973年につぼ八で居酒屋という業態を作った伝説の経営者だ。石井はイトマンに経営権を奪われつぼ八を退任。その後89年に八百八町を創業した。同社はしばらく前から売りに出されていたが、フランチャイズ店が多いことがネックで、買収に躊躇する企業が多かった。その中で花光はさらなる成長のため、自社に匹敵する八百八町の買収に踏み切った。

 花光は「いつもゼロか100の勝負をしたい」という。たとえ失敗しても、また一からやり直す自信があるからだ。「僕は負けず嫌いなんです。素直で負けず嫌いであまのじゃく、たち悪いですよね」(笑)。外食の常識に挑むあまのじゃく。一過性のブームにならず、業界を変えるトレンドを作ることができるのか。花光の挑戦はこれからだ。

(撮影:大澤 誠)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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