実はこのO2Oキャンペーンは、2012年10月から11月にかけ、オーストラリアで実施し成功を収め、日本に持ち込んだものだ。世界的企業、コカ・コーラだからこそできる水平展開と言える。
コカ・コーラと消費者の絆が弱くなった?
「コカ・コーラと消費者との“絆・つながり”が若干弱まっている傾向にある」(足立氏)。国内展開の背景には、日本コカ・コーラの調査結果で課題が明らかになったことがある。
世代を超えておなじみの、「赤いコカ・コーラ」。2007年から11年までプラス成長だった赤いコカ・コーラの売り上げが、12年、踊り場となった。12年は、キリンビバレッジが「キリン メッツコーラ」、サントリー食品が「ペプシ スペシャル」と、こぞって新しいコーラ飲料を発売した年だ。脂肪の吸収を抑える「特定保健用食品のコーラ飲料」という新ジャンルで差別化したことが大きい。当然、日本コカ・コーラの売り上げにも影響を与えた。
とはいえ、「競合他社が攻勢を仕掛けたから」という理由だけでは済まされない。
依然として、王者コカ・コーラが占めるシェアの割合は大きい。だが、コカ・コーラと消費者との間の絆が弱くなっているのではないだろうか。もっと改善できるのではないか。消費者にコカ・コーラに今一度、関心を向けてもらいたい。コカ・コーラへの関与度を強めてもらいたい。こうした思いが今回のキャンペーンにつながった。
もともとコカ・コーラと音楽は相性がいい。音楽で想起するブランドを消費者に尋ねると、コカ・コーラを挙げる人が非常に多いという。若者を中心に幅広い年齢層にうまく訴求していけるキャンペーンになるという自信が日本コカ・コーラにはあった。
音楽目的でリピート購入する人も
消費者の反響も上々だ。自分の生まれ年、子供が生まれた年、夫と出会った思い出の年を見つけたなど、”年”をきっかけにコカ・コーラのボトルを手に取った、という声が届いている。さらに、この曲懐かしいね、はやっていたね、など、音楽にまつわる感想も上がっている、という。
音楽という新しい付加価値を加えたことで、リピート購入にもつながっている。「今回は2004年を買ったが、次は自分の青春時代のボトルを買ってみよう」「1990年に流行っていた曲を聴いてみたい」などといった動機で何回も購入し、参加する人もいるようだ。そういった消費行動を促すために、専用サイトでは、570曲すべての試聴ができるようになっている。
O2Oのような新しい取り組みでは、店舗の販売員の協力も必要だ。
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