消費者は、フェイスブックなどのソーシャルメディアで自分が手に入れたプレイリストを簡単に共有できる。投稿を見た友人は、プレイリストの各曲を30秒ずつ試聴できる。
「よく耳にするけど、こんなに昔の曲だったんだ」「カーペンターズってこんなに前の曲だったのか!」。音楽から個々の思い出がひもとかれる。コカ・コーラと共に。そんな新しい体験が消費者にもたらされる。ソーシャルメディアを通して、その音楽が共有・拡散されていく。
O2Oでブランド価値を高める
開始後3週間で、キャンペーンの参加者は45万人以上。「好調な滑り出し」と、日本コカ・コーラでインタラクティブマーケティング・シニアマネジャーを務める足立浩俊氏は満足げに話す。
当然、売り上げにも反映される。数字は未公表だが、前年の同日と比べて売り上げが2ケタ増となった日もある、という。ソーシャルメディアの投稿の量で見ても、「日本コカ・コーラがベンチマークにしている2012年のクリスマス時期のキャンペーンと比べて6倍にも上る」(足立氏)。
今回のO2Oキャンペーンは、数字だけが目的ではない。オフラインとオンラインのすべての顧客接点で、コカ・コーラのブランド価値を高めることが非常に重要だという。クーポン施策になりがちなO2Oとは一線を画す。
消費者に、テレビCMや屋外広告などでキャンペーンを認知してもらう。店舗に行ってもらい、商品を手に取ってもらう。スマートフォンなどでコカ・コーラの専用サイトに訪れる。音楽という多くの人が親しみやすいものを入口として、コカ・コーラに深くかかわってもらう。ソーシャルメディアの拡散機能もあるので、コカ・コーラを通して、大切な友人・知人と感情を動かす(エモーショナルな)体験を共有してほしい。
ネットとリアルの全方向で、顧客にコカ・コーラとの関与度を高めてもらうことを狙っていると言えるだろう。
数字が目的ではないとはいえ、全方位戦略がうまく機能しているからこそ、3週間で45万人という数字が実現したと言える。
「人それぞれ思い出の”年”があるはず。自分の大切な思い出と一緒にコカ・コーラにかかわってもらえ、かつ共有してもらえる。商品パッケージを主体にしたキャンペーンということで、商品を手に取ってもらえる。オーストラリアでの成功を踏まえ、日本でも展開することにした」と足立氏は話す。
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