自分の好きな“年”が記載されたコカ・コーラを買って、スマートフォンで専用サイトにアクセスする。すると、その年にヒットした10曲の音楽を聴くことができる。ソーシャルメディアで共有することもできる。
「思い出のそばには、コカ・コーラと歌がある」
前回取り上げた、日本コカ・コーラがソニーの定額制音楽サービスと提携しトライしたサービス「Share a Coke and a Song」は、まさに、O2O(オンライン・ツー・オフライン)。2013年3月のキャンペーン開始後、約2カ月間で、参加者はすでに80万人を超えた。
今、世に出ているO2Oサービスの主流はスマートフォンアプリを用いたクーポン施策が多い。日本コカ・コーラでインタラクティブマーケティング・シニアマネジャーを務める足立浩俊氏は警鐘を鳴らす。
「割引クーポンは消費者を店頭に連れて行くには確かに有力な手段。だが、結局安売りにつながり、利益を圧迫する。本当は、クーポンなしで店舗に行ってもらうほうが、長い目で見れば企業にとってはいい。単純なクーポン型のO2Oだと、大量の消費者に対してクーポンを配信し、そのうち何人が使用したか、という施策に陥りがちになってしまう」(足立氏)。
店舗を持たない“店舗誘導型”O2O
日本コカ・コーラがO2Oで最重要視しているのが、ブランド体験だ。消費者一人ひとりにコカ・コーラというブランドと深くかかわってもらう。ネットとリアル双方で顧客満足度を高めて、消費者にコカ・コーラへの愛着を持ってもらうことにつなげる。
「Share a Coke and a Song」キャンペーンでは、音楽をきっかけに、消費者にとってかけがえのない瞬間を思い起こしてもらい、家族や仲間など大切な人たちと思い出を共有し、絆を深めてもらう機会を提供する。「思い出のそばには、コカ・コーラと歌がある」というコンセプトの下、消費者の体験がコカ・コーラのブランド価値を向上させ、ファンの育成につながっていく。
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