ファナック、スマホ向け受注「蒸発」の痛手 iPhone5低調が直撃、13年度前半は4割減益へ

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アップルが今年中に「アイフォーン5」の後継版や新興国向け廉価版機種を投入するとの観測が広まってはいるものの、EMSで設備余剰が続く限り、アイフォーンの新製品が投入されても、受注の回復は見込めそうもない。

ファナックにとっての悩みの種は直近の業績低迷だけではない。昨年12月に生産能力を月産2500台から5000台へ倍増させたロボドリルの生産拠点、筑波工場だ。

同工場は増強直後にもかかわらず、昨今の受注急減で稼動率が大きく落ち込んでいると見られる。業界内では「あの増強は一線を超えていた」との声も聞かれ、背負った荷は重い。

自動車向けロボドリルの新型機に命運託すが

ファナックはスマホ向けの穴を埋めるべく、3月には自動車部品の加工向けにロボドリルの新型機を開発したことを公表。自動車メーカー幹部を招いた展示会も開き、拡販していく方針を打ち出した。

自動車分野は工作機械メーカーにとって主戦場であるだけに、ファナックの思惑どおりに進むかどうかは未知数だが、「自動車向け新機種の開発は想像以上の早さだった」とある工作機械メーカーの首脳はその本気度に驚く。

2013年度の通期では、下期(13年10月~14年3月期)にかけて工作機械の全体的な市況の改善によりNC装置の回復が期待できそうだが、ロボドリルが急回復するとは考えにくい。スマホ依存が裏目に出たファナックにとって、業績回復の見えにくい状況がしばらくは続きそうだ。

(撮影:梅谷 秀司)
 

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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