ツイッター創業者、新ビジネスと起業を語る 新世代リーダー ジャック・ドーシー

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これは単なる会社ではなくてムーブメント

――米国ではオンライン決済最大手のペイパルなどもスマホ決済ビジネスに乗り出していますね。

確かに今はいろいろな形のカードリーダーが出てきているね(スクエアは正方形、ペイパルは三角形のカードリーダーを使っている)。だが、すべて一貫してやっているのは僕たちだけだ。

スクエアではPOSシステムが組み込まれたカードリーダーを開発しただけでなく、多くの金融機関と提携したり、「ウォーレット」というサービス(専用アプリをダウンロードした顧客がスクエア導入店に行くと、店側のソフトが顧客の名前や購入履歴を認識、店側が本人を確認・認証するだけであらかじめ保存してあるカードで決済が行われる)を提供したりしている。この要素がひとつでも抜けていたら、カードを取り扱う店舗や事業者、そして買い物をするバイヤー双方にとって、とんでもなく悪い体験になってしまう。

たとえば、スクエアを導入しているコーヒーショップであれば、顧客の名前や購入履歴といったデータをビジネスに活用することもできるし、より質の高い顧客体験を提供することができる。

――米国では順調に利用者数を伸ばし、新たなサービスも追加しています。今後の課題は何でしょうか。

最大の挑戦は海外展開だろう。スクエアは現在、米国とカナダで事業を行っているが、今後は世界に進出していきたいと考えている。しかし、金融関連の規制は各国で異なるうえ、新たに出る市場ではまた別の金融機関と連携する必要がある。つまり、同じサービスでもその国に合うように調整しなくてはいけない。

(昨年10月末に始めた)カナダでのサービスは予想以上に好調だ。今後は日本も含めたアジア地域にも大きなチャンスがあると考えている。

――今年半ばには今のオフィスからより大きいビルへ移転するそうで、ものすごい勢いで社員が増えているようですね。

2年前はわずか30人だった従業員は、今や450人にまで増えた。僕たちが金融業界の大きな問題に挑んでいるということが、魅力的な人材を引きつけているのだろう。もし起業家が強い目的意識をもって大きな問題の解決に挑み、そのプロセスがものすごい早さで進んでいるとしたら、それはもはや会社というよりムーブメントになり、多くの素晴らしい人材がこれに加わりたいと考えるはずだ。

僕らはエリート中のエリートを採用できているという点で非常に恵まれている。優秀な人材を確保できれば、会社はより早いスピードで前に進むことが出来る。

――これまでに3億ドル以上の資金を調達していますが、何に使う予定ですか。

まずはここの従業員に給料を払わないといけないし、僕らはアップル製品をたくさん買っている(笑)。僕らは世界進出を含めて事業拡大をしており、それにもおカネがかかる。僕らはつねに「他の人のおカネ」を使わない方法を模索しているが、投資家はおカネの面だけじゃなく、彼らの経験をぼくらに与えてくれるという点で重要だ。スクエアは世界でも秀逸な取締役と投資家に恵まれており、僕は彼らのおカネよりも彼らの経験やアドバイスをよりありがたく思っている。

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