FRBと違って、日銀にはいわゆる実務をやった経験のある人が皆無です。FRBの理事の中には投資銀行での経験のある人もいますし、製造業でマネージャーをやっていたことがあったり、まさに多士済々。
一方、日本の場合、民間銀行の支店長経験者すら入っておらず、証券会社の人が政策決定にかかわっているといっても彼らはエコノミスト。つまり、株の売買すら一度もやったことがないような「ペーパードライバー」が集まっているのが特徴です。
ゴルフを一度もやったことがないひと達が集まって、これをこう打ったらスライスになる、いや、この角度から打ったらフェードだと、いろいろ議論しているのと何ら変わりはなく、これはまさに滑稽というしかないではありませんか。
「実務家軍団FRB」と「ペーパードライバー日銀」の差
実際に毎日経営をして、資金繰りにうんうん唸っている私から世の中の社長の皆様を代表して、ひとこと言っておきたいのは、
マイナス金利を導入するほど景気が悪いのに、いくら金利が低いからと言って銀行からカネを借りてまで設備投資をしようと思うバカはいない。
ということに尽きると思います。従業員、そしてその家族の分まで責任を負っている社長からすれば、こういう判断をするのは当然でしょう。今後会社の社会保険負担だって、どこまで上がるか分かったもんじゃありません。
その度に従業員のクビを切るわけにいかない、というのが多くの中小企業経営者のホンネでしょう。設備投資どころではなく、いかに内部留保を確保するかが、今や最大の経営目標になっているということを日銀の皆様は全く理解していません。
経営者、そして実際に消費をする皆様の心理、というか発想から完全に乖離してしまい、その政策を打ったら、世の中はどう受け止めるであろうか、という想像力が全く欠けている。まあ、経験がないから、と言えばそれまででしょうが、私が日銀の政策決定に携わっていたら、そんなことしたらみんなが投資をしなくなるよ、とデータ付で物事を申し上げることができたと思います。
こうなるとFRBとの差は鮮明で、「実務家軍団」と「ペーパードライバー集団」では勝負にならんことは明らかでしょう。
まずは「黒田バズーカ緩和」の敗戦の事実を認め、それをしっかり分析していかないと、まさに第二次世界大戦の轍を踏むことになります。
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