ヒラリーを大統領に導く「超重要人物」とは 米大統領選まで雇用統計が堅調な理由
7月の米雇用統計(非農業部門雇用者数)は25万5000人増と予想を上回った。個人的には感情なく受け止めたのみだ。本題に入る前に、まずはこの指標の「おさらい」をしてみよう。
米雇用統計は「時代遅れの指標」
そもそも米国では、基本の人口統計は10年に一度改定されるだけだ。そこに推定1000万人強の不法移民が存在する。そして雇用者数の増減などは、非農業部門の3分の1にあたる40万社の雇用者側へのサンプル調査(約4700万件)から得る。
米国の中央銀行が注目する賃金上昇もこの数値がもとになっている。ただ不法移民かどうかに関係なく、時給職も含まれる。よって仮に彼らが低い時給で複数の仕事を掛け持ちしていると、米国人の雇用統計として、複数回カウントされる可能性がある。
一方で本質論としては、いわゆる「第4次産業革命」で膨れあがったUber(ウーバー)やAirbnb(エアビーアンドビー)などのgig work(ギグワーク、いわゆる単発の仕事) の人々(4000万人が登録)はこの数値にはカウントされていない。
この層の拡大は米国の将来像を探る上で、今の社会現象としても極めて重要である。ところが、今の雇用統計では反映されていない。つまり今の雇用統計は、米国の実体を知る上ではもはや時代遅れでもある。ただし金融市場ではいまだに一番重要。理由は中銀がこの時代遅れを重視するからだが、結果として影響力ではその価値は変わらない。
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