米国で広がる隠れた死因「薬剤耐性菌」の脅威

死亡数は10年あまりで2倍以上に

ロイターへの電子メールのなかで、CDCの担当者は2013年の試算報告について、「限界はあったものの、脅威の深刻さについて深く憂慮していたため」発表したと書いている。CDCは試算値をより正確なものに改善する取り組みを続けているという。

大幅な過少報告

データを追跡しているという州も、大抵はいくつかのタイプの薬剤耐性菌感染について把握しているだけで、一貫性は見られない。今回の調査では、2003年から2014年にかけて、合計で約3300件の死亡例が報告されていた。

これは実際の犠牲者数のごく一部にすぎない。ロイターが死亡証明書を分析したところ、同じ時期、直接・間接の死因として薬剤耐性菌感染が挙げられている例は、全米で18万件を超える。ロイターはこの分析を行うにあたって、CDCの下部組織である国立衛生統計センター(NCHS)の協力を得て、死亡証明書のテキスト記述部分を検索し、薬剤耐性菌関連の死亡例を特定した。

薬剤耐性菌感染による死亡報告を義務づけていない州の1つが、全米で最も人口の多いカリフォルニア州である。ロイターの分析では、カリフォルニア州における薬剤耐性菌感染に関連する死亡例は、上記の12年間で2万件以上特定され、全ての州のなかで最多となった。同州保健当局の広報担当者は、州法では感染については報告しなければならないが、死亡の報告は義務づけられていないという。

ロイターの分析によって得られた合計の数値からは、問題が全国的に悪化していることが示されている。薬剤耐性菌感染による死亡数は、2003年の約8600人から、2014年には約1万6700人へと2倍以上に増加した。

昨年開催されたあるカンファレンスでは、院内感染防止の専門家たちがCDCの担当者に対し、州法やメディケア・ メディケイド・サービス・センター(CMS)が義務づけている感染報告を、医療スタッフや内部検証委員会が妨害することがあると訴えた。予防可能な感染の発生や感染率の高さを理由に、病院への報酬が引き下げられるからだ。

専門家たちによれば、医療スタッフは、感染の明らかな兆候を示している患者を検査しない場合もある。これは、報告ルールを回避するための戦術の1つとして使われているという。

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