一度きりの死、いかに死んでいけばいいのか 死を考えると生き方が変わる

拡大
縮小
年老いた時、あなたはどのような人生を望みますか(写真 :bee / PIXTA)

いずれ訪れる死

上の画像をクリックするとHONZのサイトへジャンプします

人間にとってただ一つ確実なことは、いずれ死ぬということだけだ。しかし、いつ死ぬのか、どのように死ぬのかはわからない。年老いて不自由になった時、不治の病にかかった時、あなたはどのような人生を望むつもりだろう。医学が発達しているからなんとかしてもらえると思っている人がほとんどではないか。しかし、その考えは、この本『死すべき定め――死にゆく人に何ができるか』の冒頭にある文章を読んだだけで打ち砕かれる。

“わずかな間だけでも高齢者や終末期の患者と一緒に過ごせば、援助すべき相手に対して医学がどれだけ失敗を犯しているかがわかるだろう”

人生の備えとしてこの本を読んでおくべきだ。あなたの人生観が変わる。そして、いつか人生そのものが変わる日がくるはずだ。

つい数十年前まで、老人は敬われ、大事にされ、家族の世話で看取られていくのが一般的であった。しかし、高齢化や核家族化により、そのような最期は激減している。そして、老化により自立できなくなった高齢者は、アメリカでも日本でも、施設で面倒を見てもらうしかない状況になってきている。そういった施設の問題点は、医学的な発想に基づき、安全と健康を重視するという観点から運営されていることにある。施設の都合で運営されるために、個人のプライバシーと自律は失われてしまう。そして、生きる意味さえ失われていく。悲しいことだ。誰もが人生は幸福に終えたいはずなのに。

次ページあることを導入したことで死亡率が減少
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT