一度きりの死、いかに死んでいけばいいのか 死を考えると生き方が変わる
いずれ訪れる死
人間にとってただ一つ確実なことは、いずれ死ぬということだけだ。しかし、いつ死ぬのか、どのように死ぬのかはわからない。年老いて不自由になった時、不治の病にかかった時、あなたはどのような人生を望むつもりだろう。医学が発達しているからなんとかしてもらえると思っている人がほとんどではないか。しかし、その考えは、この本『死すべき定め――死にゆく人に何ができるか』の冒頭にある文章を読んだだけで打ち砕かれる。
“わずかな間だけでも高齢者や終末期の患者と一緒に過ごせば、援助すべき相手に対して医学がどれだけ失敗を犯しているかがわかるだろう”
人生の備えとしてこの本を読んでおくべきだ。あなたの人生観が変わる。そして、いつか人生そのものが変わる日がくるはずだ。
つい数十年前まで、老人は敬われ、大事にされ、家族の世話で看取られていくのが一般的であった。しかし、高齢化や核家族化により、そのような最期は激減している。そして、老化により自立できなくなった高齢者は、アメリカでも日本でも、施設で面倒を見てもらうしかない状況になってきている。そういった施設の問題点は、医学的な発想に基づき、安全と健康を重視するという観点から運営されていることにある。施設の都合で運営されるために、個人のプライバシーと自律は失われてしまう。そして、生きる意味さえ失われていく。悲しいことだ。誰もが人生は幸福に終えたいはずなのに。
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