量子物理学に今、革命が起ころうとしている 「神の粒子」を超えた探索が始まった
本を書けるのは、ヒマだからさ!
実験家が一般読者のために本を書くこと自体、まずめったにない。一般向けの物理学の本は、ほとんどすべてと言っていいほど、理論家によって書かれているのである。
そうなってしまう理由は明らかだ、と、本書、『量子物理学の発見』の著者であるレオン・レーダーマンは、かつてこう書いている。
「なんたって連中(理論家)には、時間がたっぷりあるんだから」。
本を書けるのは、ヒマだからさ、というわけだ。「いや、わたしは忙しい!」と憤慨する理論家もいるだろうが、そのセリフがレーダーマンの口から出たものとわかれば、きっと苦笑いして「降参」の手を上げるだろう(ちなみに、本書のもうひとりの著者であり、レーダーマンの親しい同僚で、何冊かの共著をものしている物理学者クリストファー・ヒルは、ご想像の通り、理論家である)。
そして本書の魅力は、難解きわまりないことで悪名高い量子物理学が、ぐっと身近に感じられることだろう。量子物理学という分野は、一般にはきっとこんなふうに思われているのではないだろうか。
「それって、猫が死んでいるとか生きているとか、宇宙が無数に分裂するとかしないとか、まるで禅問答のような話が延々と続く分野でしょう?」。
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