共感ポイントは、相手がなぜそうしたのかという理由や動機を検証しなくては、しっかりとはつかめません。理由や動機を聞こうとすると、「なぜそうしたのですか?」「どうしてそうなったのですか?」という質問がすぐに思いつくかもしれませんが、”なぜ”や”どうして”という理由を聞き出す言葉は実は要注意です。質問というよりも、問い詰めるニュアンスの詰問や尋問のように相手が感じてしまうことがあるからです。
世代間ギャップが大きいと、理由だけでなく相手の言葉の意味自体が分からない場合もあるでしょう。当然相手に確認する必要が出てきますが、「それは何ですか?」「なぜですか?」と小学生の職業インタビューのような聞き方ではあまりよい印象を与えられません。よく「なぜを繰り返しなさい」と言われますが、私は相手に対してひたすらなぜを繰り返すべきではないと考えています。「なぜ?」ときかずに、分からないことを聞き出していくのが、洗練された聞き方と言えるのではないでしょうか?
例えば、
「あのサービスはみんなだめって言ってるよ」
という発言を自分より年配の方がした場合、「どうしてそう思ったんですか?本当に全員が言ってるんですか?」と質問したら、相手は口をつぐむか、意固地になって主張する可能性が高いでしょう。この場合には、
「それはお困りですね(共感)。周囲の方には不評なんですね?(受容)具体的にはどんな声があがっているのか教えていただけますか?(検証の質問)」
と聞くことで、相手の方も事実を述べやすくなるでしょう。
同様に、
「この組織になってから問題ばっかりです。責任範囲が不明確で仕事を押し付けられて、仕事がすごく増えて困ってるんです」
と後輩が言ったとして、いきなり「本当に仕事を押しつけられてるの?どこでもそんなもんだよ」と諭してしまっては、後輩は「分かってくれた」とは思えないでしょう。そこで、
「それはきつそうだね(共感)。仕事が増えちゃったんだね(受容)。前に比べて実際にはどれくらい量が増えたの?難しくなったの?(検証の質問)」
と受け止めてから質問することで、組織に問題があって業務が増えているのか、後輩のスキル不足が問題なのか、掘り下げていくことができます。
相手の理由や動機が分かる
先程、山田課長が「先日、鈴木部長があまりにもいい加減な方針を出すからきつく言い返しちゃったよ」と言った例も、「どうして言い返したんですか?」と聞くよりも「課長がそこまでしようと思った決め手は何だったんですか?」と聞くことで、詰問・尋問口調にならずに聞くことができます。「決め手は何ですか?」という聞き方は、なぜ、どうしてという言い方をせずに理由を聞き出すのにとても便利です。
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