「世界初」を生み出し続ける島精機製作所 正社員中心主義で「創意工夫」

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そして、島社長は「一番難しいところからやろう!」と常に高い目標を掲げることを忘れない。「世界初の全自動衿編み機」の開発も、業界内では「ムリだろう・・・」と言われていたことを敢えて目標として掲げ、数々の難問を突破してきた。

現場の創意工夫が目先のチマチマした改善に陥らないためには、高い目標を掲げ、それに向かって愚直に取り組むことがなにより大切である。現場力はこうやって鍛えられていく。

次の成長ステージへ

島精機は2012年11月8日、9日に創立50周年記念事業の一環として和歌山市のビッグホエールで二ットウエアのファッションショーを開催した。イタリアのベネトンやブルネロ・クチネリなどの海外ブランドに加えて、国内のオンワード樫山、ワールドなど大手アパレル関係者など1400名が来場した。そのうち海外からの来場者はなんと500名。島精機に対する世界の期待の大きさを改めて再認識させた。

同社の次の成長を担う製品の柱である「ホールガーメント」は、編み上げ速度が従来の2倍以上という新型機の開発に成功し、懸案であった生産性の問題を解決した。「ホールガーメント」は縫い合わせという工程が不要となることから、安価な労働力を求める生産立地の必要性がなくなり、地産地消という新たなビジネスモデルが可能となる画期的な製品だ。

この機械があれば、先進国でもニット産業が復活する可能性を秘めている。実際、日本でもそうした機運が高まり、発注量が増えている。

また、リードタイムが大幅に短縮され、必要なときに必要な着数を生産することができる。さらに、裁断した後のカットロスもなくなる。こうした数多くのメリットをもたらす「ホールガーメント」は、まさにニット業界のビジネスのあり方を革命的に変えてしまう製品であり、世界の注目度はきわめて高い。

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