「世界初」を生み出し続ける島精機製作所 正社員中心主義で「創意工夫」

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島社長は「世界初」にこだわり続ける。「どこにもないものをつくる」ことを常に目標として掲げ、実現させてきた。雑誌『理念と経営』のインタビューで島社長はこう答えている。「創業以来、未だに、他社がつくったものを、つくったことはない。すべて“世界初”でつくって半世紀になる」。日本のモノづくり企業の多くが忘れてしまった高い志がここにある。

「世界初」を支える独自技術と現場力

 「世界初」を実現するために、島精機は圧倒的な独自技術と現場力を磨いてきた。部品は徹底的に内製にこだわる。数十台ものマシニングセンターを抱え、ナノ単位の精密部材加工を行い、卓越した生産技術力を確立している。

図面を外に出すことなく、きわめてレベルの高い内製化によってブラックボックス化を実現している。島社長は「めんどくさいことこそ自社でやる」と断言する。

そうした高度技術の象徴のひとつが編み針だ。「ホールガーメント」では4000本以上の編み針が3本の糸を立体的に編み上げていく。スライドニードルと呼ばれるこの編み針こそが「ホールガーメント」の命であり、他社では真似のできない独自技術である。機械のドンガラや機構は一見同じように見えても、機械の性能や品質は一つひとつの部品の性能・品質で歴然とした違いが出る。

組立部門でも島精機ならではの工夫があちこちに見られる。横編み機の組立ラインには外形上似たような製品が何十台も並んでいる。しかし、その仕様は一品一様であり、同じものはない。こうした多品種少量の組立を効率的に行うために、ライン生産ではなく、組立作業者が移動して部品の組み付けを行うという独自の生産方式を採用している。

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