民主党は4月9日、平野達男前復興相ら、離党届を提出した現職の参議院議員3人のうち、2人を除名・会派離脱とする方針を固めた。これで参議院は85議席となり、自民党との差が2に縮まる。いよいよ参議院の第1党の座も危うくなってきた。
一方、好調の安倍首相は3月22日、都内の会合で「野党は10年、待ってもらいたい」と述べたという。自民党の石破幹事長はさらに強気で、「これから20年は与党で」と話している。10年だと2~3回、20年なら6~7回、総選挙があり、勝ち続けなければならないが、「無力野党」の現状を見て、それも可能、と自民党は思い始めたのだろう。
「無力野党」の中でも、民主党の凋落ぶりは想像以上だ。
2009年に野党に転落した自民党は、10年の参院選での衆参ねじれ実現が2年半後の政権奪還につながった。民主党も今夏の参院選で自民党独走を阻止しなければ再浮上の道はないが、改選となる現職議員や公認内定者の中から離党や出馬辞退、他党への鞍替えが続出している。再浮上どころか、自壊の危機だ。
だが、党の指導者たちの動きは鈍い。海江田代表はアベノミクスに対抗して野田前首相の口癖だった「分厚い中間層の復活」を唱えるが、空念仏のように聞こえる。
振り返ると、09年の民主党の政権奪取は国民の期待感が最大のエネルギーだった。路線や政策への関心だけでなく、国民の期待感を選挙の勝利につなげるリーダーの存在が大きかった。04年、07年の参院選、09年の総選挙の勝利は、それぞれ岡田氏、小沢氏、鳩山氏が代表のときだ。いま岡田氏は党内で逼塞、小沢氏は離党、鳩山氏は政界引退の身だ。
逆に敗北した10年の参院選と12年の総選挙で党首だった菅氏と野田氏が党内にとどまって、いまだ「党の顔」のような役割を果たしている面がある。これでは国民の期待感を呼び戻せない。民主党再生には「失敗の教訓」から何を学ぶかも重要だが、ゼロからの再出発に当たって、かつての「成功の体験」を今後、どう生かすかも隠れたポイントだろう。
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