LINE参戦で始まる「格安スマホ決戦」の構図 急成長中の楽天には「伸びる理由」がある

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まず楽天ポイントのようなユーザーの明確なメリットが少ない。販路もLINEのサイトにおける販売のみで、リアル店舗の出店予定は当面ない。量販店への出店も「量販店側から話があれば」(LINEモバイルの嘉戸彩乃社長)と受け身である。

また、楽天で実際にログインしてサービスを利用する会員数は8301万人と、LINEユーザーを2000万人も上回る。顧客基盤の厚みという点でも、楽天の背中を追うのは容易ではない。LINEは今後、音楽や動画の配信、ECといった自社サービスとの連携を進め、ユーザーのメリットを創出することが重要になりそうだ。

市場拡大の一方、淘汰の波も

MVNO市場の伸びは目覚ましく、2016年末には2年前の3倍の700万人超に成長すると見込まれる。だが、市場の急拡大と裏腹に、淘汰の波も押し寄せている。

MVNOの事業者数をみると、2015年末時点で210社(総務省調べ)に上る。激しい価格競争が続いた結果、ほとんどの業者が赤字とみられる。実際、MVNOの先駆けである日本通信は個人向けの新規開拓を取りやめて、MVNO向けにシステム開発などサービスを提供する業態へと転換している。

収益化が厳しい事業であることは間違いないが、舛田氏は「赤字でいいわけではない。当然黒字を目指している」と断言する。強力なライバルがうごめく中で、どこまでシェア拡大を進められるか。LINEの挑戦は始まった。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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