LINE参戦で始まる「格安スマホ決戦」の構図 急成長中の楽天には「伸びる理由」がある

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通信料金もライバルを意識したもの。ただ、「格安」だが、「最安」ではない。

料金は初心者向けプランが月額500円から。同じく初心者向けが5500円程度の通信大手3社に比べれば格安だが、MVNOとの比較では、299円と激安のフリーテルなどLINEより安いプランが複数存在する。

実は、過去1年で契約件数を最も伸ばした業者は、最安の会社ではない。ICT総研の調査によれば、個人向けで最も伸びたのは2014年10月に参入した楽天モバイル。2015年5月時点ではシェア2%にも満たなかったが、今年6月にはトップに躍り出た。

楽天モバイルの料金は、データ通信専用プランで月額525円から、通話もできるプランで同1250円からである。LINEモバイルはこのプランより少しだけ安い。LINEの舛田氏の“研究”とは、急成長中の楽天モバイルを強く意識したものだった。

急成長の秘訣は「ポイント」

それではなぜ、楽天モバイルは大きく伸びたのか。急成長の秘訣はポイントにある。楽天モバイルと契約すると、楽天市場の買い物でもらえるポイントが2倍になり、さらに通信料金をポイントで払えるようになるのである。

楽天執行役員の大尾嘉(おおおか)宏人氏は「ポイント還元率が他社よりも圧倒的に高い。楽天市場は『7倍セール』など高還元率のセールもざらにある。私自身も今月の料金はすべてポイントで払っている」と強みを説明する。楽天市場で買い物をするほど得をする仕組みが、楽天モバイルの急成長の秘訣なのだ。

販売網の充実も成長に欠かせない条件だった。楽天モバイルを扱うショップは全国に99店舗(9月14日現在)。レンタル店のゲオに加えて、ケーズデンキなど家電量販店内のショップも目立つ。全国主要都市には、独自の実店舗も13店出している。

満を持して参入したLINEだが、ユーザーの開拓は簡単ではない。

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